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バイドゥはコンテンツの著作権をブロックチェーンで保護する

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2009年にサトシ・ナカモトがビットコインの論文を発表してから現在まで、ブロックチェーン技術は”革命”である、という主張が仮想通貨系のメディアから多く発表されています。

それでは、2018年現在、我々の生活の中では、どれほどのブロックチェーン技術が使われているのでしょうか。

たとえば、ビットコイン等の仮想通貨に親しんでいる人々であれば、ブロックチェーン技術は身近なものかもしれません。

しかし、それ以外の人々にとっては、未だブロックチェーンという技術が使用されているプロダクトを発見する機会は少ないのではないでしょうか。

中国の巨大テック企業であるバイドゥ(百度:BAIDU)は、これまでにも様々なブロックチェーン技術の開発を続けてきました。

今日の記事では、バイドゥが行うブロックチェーンを使用した取り組みをご紹介したいと思います。

目次
■バイドゥはコンテンツの著作権をブロックチェーンで保護する
■ブロックチェーン技術を使用することによって、どのように著作権者のマネタイズをサポートするのか
■今後の展開

バイドゥはコンテンツの著作権をブロックチェーンで保護する

2018年7月18日、バイドゥは、ブロックチェーン技術を使用した画像の著作権保護サービスとなるBaidu-Totem(百度图腾)を正式発表しました。

実際的には、このBaidu-Totemは既に2018年4月からベータテストがオンラインとなっていましたが、この日の正式発表によってそのサービスの全貌が明らかとなりました。

日本や中国、アメリカを含め、インターネット上にアップロードされている写真やイラスト等の著作権の扱いは、現在までにも様々な議論が存在していたことと思います。

バイドゥがローンチしたこのサービスでは、ブロックチェーン技術とAI技術、ビッグデータ技術といった3つの主要テクノロジーを使用することによって、画像の著作権保護プラットフォームを構築したとしています。

彼らは、このプラットフォームによって、画像のアップロードから、著作権の証明と監視、保護、使用権限の付与、マネタイズのサポートを実現するそうです。

また、彼らは、このBaidu-Totemによって、著作権者個人がアップロードした画像の著作権を保護するだけではなく、写真やイラスト等の著作権を管理する機構や組織と提携することよって、より膨大な数の画像の著作権をも保護するとしています。

バイドゥの発表によれば、Baidu-Totemを使用することによって、画像の著作権者とアップロードされた画像の著作権は証明され、その記録がPIC-CHAINと呼ばれるBaidu-Totem内のブロックチェーン上に記録されるそうです。

さらに彼らは、その画像の使用権限の付与や開放、実際的にその画像が権利を侵された記録等も、全てPIC-CHAINのブロックチェーンに記録されるとしており、ブロックチェーンという分散型台帳が持つ透明性と高い改ざん耐性が、この著作権の記録に生かされることがわかります。

Baidu-Totemは、検索エンジンサービス中国最大手であるバイドゥがもつAI技術とビッグデータ技術を使用することによって、全てのインターネット上に存在する膨大なデータをカバーし、99%の精度で画像を識別するとしています。

また、Baidu-Totemは、1時間で5000枚の画像を著作権検査するとしており、その記録台帳となるPIC-CHAINブロックチェーンのスケーラビリティが非常に高いことがわかります。

ちなみに、Baidu-Totemは、バイドゥが開発したXuperChain(百度超级链)というブロックチェーンが応用された初めてのプロダクトであるとされています。

バイドゥは、XuperChainというブロックチェーンを、強力なネットワーク処理能力と、複数スマートコントラクトの並行処理能力を備える、ブロックチェーン3.0ソリューションと定義しています。

また、XuperChainは、サイドチェーン(sidechain)やパラチェーン(Parachain)にDAGネットワークを結合可能としていること、コンセンサスアルゴリズムを調整できること等をその特徴としています。

XuperChainのスケーラビリティは既に10万TPSを記録しており、この数字は今後も上限なく伸びていくとされているため、Baidu-Totemの処理能力も、それに伴いさらに向上していくものと考えられます。

ブロックチェーン技術を使用することによって、どのように著作権者のマネタイズをサポートするのか

Baidu-Totemの注目すべき点は、著作権保護の仕組みだけではなく、著作コンテンツのマネタイズサポートを可能にする点だと思います。

彼らは、そのために、ブロックチェーン技術に基づいたTotem-Point(图腾积分)と呼ばれるポイントを使用し、報酬を使用したユーザーへの働きかけを構築しています。

Baidu-Totem上で、使用権限の開放された画像コンテンツは、そこに参加するユーザーによって使用されます。

その際、そのコンテンツの権限付与や開放、コンテンツの使用、コンテンツの宣伝といった行為に対して、Baidu-Totemは、Totem-Pointを著作権者やユーザーに与えるそうです。

著作権者やユーザーは、Totem-Pointを貯めることによって、バイドゥエコシステム内でのサービスにそのポイントを使用できるとされており、ポイントを使用した報酬による動機付けは、最終的な画像の著作権を守ることに繋がります。

また、Baidu-Totemが構築するこのような環境は、著作権者の権利を保護するだけではなく、さらにその画像の流通と宣伝をブロックチェーンという”価値”を転移できる仕組みによってサポートするため、そのマネタイズをも強力にサポートすると考えられます。

今後の展開

Totem-Pointは、一見すると仮想通貨やトークンのようなものに見えますが、バイドゥ曰く、このポイントは、バイドゥエコシステム内でしか使用できず、バイドゥエコシステム内で提供されるサービスのみに交換可能としており、仮想通貨のように公開されたマーケットで流通し売買されるものでは無いことが推測できます。

バイドゥがこのポイントを、仮想通貨とはせずに、サービスに使用できるポイントであると定義している背景には、中国政府が仮想通貨に対して規制を行っているといった要因が存在するものと考えられます。

当然、公開されたマーケットで売買できないということは、このポイントを使用した動機付けが、仮想通貨等を使用したトークンエコノミーのものよりも劣る可能性は存在します。

しかしながら、バイドゥという企業は中国のインターネット検索エンジン最大手であるとともにBATと呼ばれる中国テック企業三大巨頭の一つであり、そのエコシステムは、コンテンツサービスのみならず、O2O領域や自動運転領域等、現在も更に大きく広がっているため、バイドゥエコシステム内で使用可能なポイントというだけでも、現在の中国で”価値”のあるポイントであることは確かだと思われます。

Baidu-Totemプロダクト責任者である梁子は、この仕組みを利用し、今後は画像だけではなく、文章や音楽、動画等の様々なコンテンツの著作権を保護していくとしています。

日本でも、大手企業のNTTや日立、ユニコーン企業のメルカリ等が、ブロックチェーンの研究を進めています。

ブロックチェーンという技術は、今後、様々なプロダクトやサービスの背景で、”価値”の転移や透明性、高改ざん耐性といった特徴を生かした使われ方がなされるのではないでしょうか。

参照 
・http://industry.caijing.com.cn/20180726/4492166.shtml
・http://www.igeek.com.cn/article-1082819-0.html
・http://news.10jqka.com.cn/comment/605898642.shtml
・http://www.chinaz.com/blockchain/2018/0727/919202.shtml
・http://www.sohu.com/a/241987091_114877
・https://xchain.baidu.com/introduce
・https://block.cc/news/5b59d25bce79d2cf9bef34ac
・http://www.lianmenhu.com/blockchain-4808-1
・https://image.baidu.com/eco/index#/helpinfo/rightsdesc

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