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香港金融管理当局とも提携するOneConectを通してブロックチェーンに取り組む平安保険

投稿日:2018年9月7日 更新日:

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中国では、IT領域で活躍するBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)とよばれるテクノロジー三大企業が存在しています。

これらの企業は、豊富な技術力と資本力を背景に、これまでもブロックチェーン技術の開発に早くから取り組み、実際的なプロダクトを継続的にローンチしています。

しかしながら、同時に、ITというバックグラウンドを持たない多くの中国企業もまた、これまでに、ブロックチェーン技術応用の取り組みを続けています。

そして、それらの中国企業が行うブロックチェーンへの取り組みの幾つかは、中国のテクノロジー三大企業であるBATにも引けを取らないものとなっています。

今回ご紹介する平安保険グループは、中国の保険会社をバックグラウンドとした金融コングロマリットの一つですが、彼らもまた、ブロックチェーン技術を使用した取り組みを続けています。

彼らは、金融領域を網羅するコングロマリットとして、金融サービスに特化したブロックチェーンの開発を行っているようです。

目次
■OneConnect(金融壹账通)を通じてブロックチェーンへの取り組みを加速させる平安保険グループ
■BaaS(Blockchain as a Service)によってブロックチェーンの応用シーンを広げるOneConnect
■香港金融管理当局とのパートナーシップ
■中国マーケットから世界マーケットへ

OneConnect(金融壹账通)を通じてブロックチェーンへの取り組みを加速させる平安保険グループ

OneConnectは、2015年に設立された平安保険グループ傘下のフィンテック企業です。

OneConnectはこれまでにも、クラウドコンピューティングサービスの開発や、AI技術の開発を行っており、ブロックチェーンへの取り組みを含め、その活動には、平安保険グループの実際的なテクノロジーの研究開発を担う重要な役割が存在しています。

彼らは、2017年に、コンソーシアムブロックチェーンであるHyperledger Fabricを基にした独自のブロックチェーンFiMAX(fabric MAX)を開発しています。

FiMAXブロックチェーンは、OneConnectが独自開発したテクノロジーによって、中国の暗号管理当局(国家密码局)が認定した暗号アルゴリズムを使用しながらも高いスケーラビリティを実現するものとなっています。

また、彼らのブロックチェーンでは、ゼロ知識証明技術を使用しており、サードパーティに対しても暗号化された通信を可能とするとともに、同時にコンプライアンスに沿った通信の検知をも可能とするとしています。

ちなみに、OneConnectには、IBM Hyperledger Fabricプロジェクト初期メンバーとして活躍していた陆一帆(Frank Lu)という人物が参加しています。

彼は、Hyperledger Fabricのホワイトペーパー起草人でもあるとされており、その存在は、OneConnectのFiMAXブロックチェーン開発に少なくない貢献がなされたものと考えられます。

BaaS(Blockchain as a Service)によってブロックチェーンの応用シーンを広げるOneConnect

2018年2月6日、OneConnect(金融壹账通)は、BaaS(Blockchain as a Service)プラットフォームとなるOneChain(壹账链)を正式発表しました。

彼らが発表したOneChainは、FiMAXブロックチェーンで培った技術を基に開発させており、そこでは、高いスケーラビリティとプライバシー保護を両立しながら、中国の暗号管理当局が認定した暗号アルゴリズムを使用したブロックチェーンが使用可能となるとされています。

ゼロ知識証明を使用した彼らのBaaSでは、異なる応用シーンで完全なるプライバシー保護を可能とするブロックチェーンをも利用可能としています。

たとえば、そのブロックチェーンを使用したトレサビリティーシステムでは、彼らが独自開発した暗号トレサビリティー技術によって、情報漏えい等のリスクを未然に防ぐことが可能となっており、彼らのサービスを使用するユーザーは高性能なブロックチェーンをより安全に使用することができるとされています。

また、そのBaaSの特徴の一つは、中国政府が認める暗号アルゴリズムを使用可能とすることだと考えられます。

これによって、中国の企業等のユーザーは、よりコンプライアンスを強化したブロックチェーンを、OneChainを使用して利用することが可能となるのではないでしょうか。

香港金融管理当局とのパートナーシップ

OneConnectは、現在までに、そのブロックチェーンやBaaS等を使用した様々な取り組みを続けています。

たとえば、彼らは現在までに、ブロックチェーン技術を使用した記録・トレサビリティープラットフォームとして、ダイヤモンド取引サービスや、異なる企業間でリアルタイムに台帳を精算できるサービス、ゼロ知識証明を使用した中小企業融資サービス等、実際的なソリューションを既に提供しています。

また、OneConnectは、2018年8月、香港の金融管理当局であるHong Kong Monetary Authority(香港金管局)とパートナーシップを結び、香港で使用される国際貿易金融プラットフォームを開発したと報道されています。

OneConnectは、ブロックチェーン技術を使用してこのプラットフォームを開発しており、そこでは世界初となる権限設定可能な暗号情報を扱いながらも高いスケーラビリティを実現したブロックチェーンシステムが構築されているそうです。

香港では、毎年約1兆米ドル規模の国際融資が行われていますが、香港が実際に獲得するリターンは世界的な水準に比べて低いものとなっており、その背景には不透明なシステムの存在があったのかもしれません。

香港の金融管理当局とOneConnectは、ブロックチェーン技術を使用したこの透明性ある国際貿易金融プラットフォームを運用することによって、詐欺や身分偽造を防ぐとともに、長期的には融資成功率を高め、様々なコストを下げることを目標としています。

現在までの報道によれば、香港では既に複数の銀行がこのプラットフォームの運用テストを行っているとされており、近い将来の実際的な運用が期待されています。

中国マーケットから世界マーケットへ

平安保険グループは、従来からファイナンステクノロジー分野に力を入れており、そのような姿勢がOneConnect(金融壹账通)のブロックチェーン開発にもつながっているものと考えられます。

彼らは、これまでにも、平安核心五大技術として、ブロックチェーンの他に、生体認証やビックデータ、AI、クラウドコンピューティングの開発を加速させることを掲げています。

たとえば、ブロックチェーン等のテクノロジーに対する実際的な研究開発を続けるOneConnect以外にも、平安保険グループ傘下では、医療ITサービスを展開する平安好医生や平安医疗、総合フィンテックサービスを展開しているLufax(陸金所)等が注目されており、それらグループ企業の発展は非常に期待されています。

また、平安保険グループは、現在までに保険、銀行、投資等、ほとんど全ての金融サービスを網羅しており、イギリスのBrand Financeが発表する”2018年最も価値ある世界の保険ブランド100″では二年連続の首位に輝いています。

このように、現在では世界的な保険会社の一つとなっている平安保険グループですが、しかしながら、その売上に占める海外マーケットの比率は未だにわずか数%であるともされています。

OneConnectのブロックチェーン技術が香港の金融システムで使用されることは、今後の平安保険グループが、中国以外のマーケットに進出するきっかけとなるかもしれません。

更に、彼らのシステムが香港で成功することは、中国本土の政府機関や銀行でも、OneConnectのブロックチェーン技術が使用されるきっかけとなるのではないでしょうか。

そのとき、OneConnectと平安保険グループの発展可能性は、より大きいものとなると考えられます。

参照 
・http://www.jryzt.com/about/#about
・http://www.jryzt.com/
・https://baas.yizhangtong.com/about/aboutTeam
・https://baas.yizhangtong.com/example
・https://baas.yizhangtong.com/introduction/3
・https://baas.yizhangtong.com/home
・http://www.cebnet.com.cn/20180808/102512514.html
・https://zhidao.baidu.com/question/686355962428670692.html
・https://www.sohu.com/a/194113990_651994
・https://baike.baidu.com/item/%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E5%A3%B9%E8%B4%A6%E9%80%9A%E9%87%91%E8%9E%8D%E7%A7%91%E6%8A%80%E6%9C%89%E9%99%90%E5%85%AC%E5%8F%B8/22179759?fr=aladdin
・http://www.cnfinance.cn/magzi/2018-02/08-27823.html
・http://finance.sina.com.cn/blockchain/coin/2018-08-20/doc-ihhxaafz1566873.shtml
・https://36kr.com/p/5127185.html
・http://www.inpai.com.cn/news/new/2018/0822/908.html
・http://baijiahao.baidu.com/s?id=1604991968838028615&wfr=spider&for=pc
・http://finance.sina.com.cn/blockchain/coin/2018-08-22/doc-ihhzsnec1917481.shtml
・http://finance.sina.com.cn/blockchain/coin/2018-08-22/doc-ihhzsnec1917481.shtml
・http://static.nfapp.southcn.com/content/201808/01/c1360921.html?group_id=1
・https://baijiahao.baidu.com/s?id=1608691059555177939&wfr=spider&for=pc
・https://baijiahao.baidu.com/s?id=1608939177015797434&wfr=spider&for=pc
・https://baijiahao.baidu.com/s?id=1609511936744145501&wfr=spider&for=pc
・http://it.szonline.net/contents/20180823/20180825420.html
・https://baijiahao.baidu.com/s?id=1610042470882650100&wfr=spider&for=pc
・http://finance.sina.com.cn/blockchain/coin/2018-08-20/doc-ihhxaafz1566873.shtml

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