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柔軟性のあるDappsプラットフォームを開発するMultiVAC

投稿日:2018年9月30日 更新日:

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MultiVACは、吕恒という人物が中心となって開発されている仮想通貨・ブロックチェーンプロジェクトです。

彼らは、高いスケーラビリティを実現したDappsプラットフォームを開発するために、シャーディング技術をそのブロックチェーンの設計に組み入れています。

彼らのシャーディング技術の特徴は、VRF(Verifiable Random Function)と呼ばれるランダム関数によってシャードを選択するシステムを採用していることです。

彼らは、そのブロックチェーンによって、柔軟性のあるDappsプラットフォームを実現し、Dapps開発者がスケーラビリティ(Scalability)、非中央集権(Decentralization)、安全(Security)といったブロックチェーンの性能的均衡を調整可能とすることを提案しています。

目次
■プロジェクトの背景
■アルゴリズム、時価総額等
■創業者やプロジェクトチームについて
■今後の展開

プロジェクトの背景

MultiVACプロジェクトは、そのホワイトペーパーの中で、ブロックチェーン技術の課題としてブロックチェーンのトリレンマの存在を挙げています。

ブロックチェーンのトリレンマとは、スケーラビリティ(Scalability)、非中央集権(Decentralization)、安全(Security)という3つの要求をブロックチェーンが同時に実現することは困難なのではないかという概念です。

その概念の存在は、今後のブロックチェーンの発展を語る上で避けては通れないものだと考えられ、彼らの挑戦は、そのトリレンマをどのように扱うかの挑戦であると考えられます。

彼らは、ホワイトペーパーの中で、ビットコインやイーサリアム等のパブリックチェーンはスケーラビリティに欠けていると指摘しています。

また、彼らは、EOS等のプロジェクトは非中央集権性を放棄していると指摘しており、さらに、ZilliqaやDfinity等のプロジェクトが採用しているシャーディング技術は一定の安全性を放棄していると指摘しています。

彼らは、ホワイトペーパーの中で、上記トリレンマの存在を認めつつ、信頼できるシャーディング技術を実装し、制限のないスケーラビリティを備えた柔軟性のあるパブリックチェーンを開発することによって、ブロックチェーンを使用した、より実際的な応用シーンを開拓することを掲げています。

たとえば、現在の我々の生活の中で、ブロックチェーン技術が実際に使用されているサービスやプロダクトはわずかに増えているのかもしれませんが、それらのブロックチェーンは、そのほとんどがプライベートチェーンやコンソーシアム型ブロックチェーンであるのではないでしょうか。

ビットコインの革新性として語られることが多い非中央集権性は、プライベートチェーンやコンソーシアム型ブロックチェーンでは未だ実現できていないといった指摘はかねてより存在しており、一つのパブリックチェーンによって運用される様々なDappsが、安全性やスケーラビリティ、非中央集権性といった要求を各々で選択し調整することは、これまで難しくなっていタのだと思われます。

彼らがMultiVACブロックチェーンによって実現する未来とは、一つのパブリックチェーンを基底とした、実際的なサービス・プロダクトの実現であり、そこでは、開発者による、安全性やスケーラビリティ、非中央集権性の均衡の調整が可能となっています。

MultiVACは、そのために、VRF(Verifiable Random Function)と呼ばれるランダム関数モデルや、PoIEと呼ばれるコンセンサスアルゴリズムを採用すること等によって、柔軟性のあるDappsプラットフォームを構築するとしています。

アルゴリズム、時価総額等

MultiVACは、プロジェクト発足から間もないため、そのブロックチェーンで使用されるトークンの時価総額は不明となっています。

現在までに、彼らのブロックチェーンで使用されるトークンのティーカーシンボルはMTVとされていますが、この表記も今後変更となる可能性が存在します。

彼らのブロックチェーンでは、MVM(MultiVAC Virtual Machine)と呼ばれる仮想マシンとBISC(Blockchain Instruction Set Computer)と呼ばれるRISC-Vを基にして開発された命令セットによって、開発者が柔軟性あるDappsを開発出来るようにしています。

例えば、Dapps開発者はその安全性やスケーラビリティ等を考慮し、Dapps実行のためのノードの数を調整可能となっているそうです。

MVMとBISCはLLVM(Low Level Virtual Machine)のC言語をサポートしており、今後はJavaやGo等のプログラミング言語もサポートしていくとしています。

また、彼らは、MultiVACブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムとして、PoIE(Proof of Instruction Execution)と呼ばれる新しいメカニズムを採用するとしています。

PoIEは、PoRep(Proof of Replication)メカニズムに似たブロック検証方式だと中国では指摘されていますが、その特徴は、VRFによって検証ノードが選ばれることだとされています。

PoIEの基本的なロジックは、ネットワーク上の全てのノードがハッシュ関数とランダム関数によって大量のトランザクションを処理できることにあると考えられ、そのようなコンセンサスアルゴリズムによって、ノードはより高い奨励をその貢献から得られるとされています。

創業者やプロジェクトチームについて

MultiVACプロジェクトの創始者は、吕恒という人物です。

2012年に天津大学でコンピューターサイエンスの修士を獲得した彼は、これまでに中国のO2Oユニコーン企業であるMeituan(美团)でプロジェクトの技術責任者等を勤めた経験を持つエンジニアとされています。

また、彼は、2015年には、スタートアップ企業である”薪人薪事”の共同創始者としても活躍しています。

そのスタートアップはこれまでにセコイア・キャピタル等から資金調達を成功させており、中国のHR SaaS分野で期待されるスタートアップとなっています。

現在の吕恒は、2018年4月に北京晓链科技有限公司という会社を中国に登記しており、その法定代表及び50%の株式を保有する筆頭株主となっています。

この北京晓链科技有限公司には、MultiVACプロジェクトのメンバーである应翔と王晨も株主として登記されており、この会社が実際的なMultiVACプロジェクトの開発を行っていることが予想されます。

今後の展開

たとえば、ZilliqaやEmotiq、Quarkchain、イーサリアム等のプロジェクトが、現在または将来的にシャーディングをブロックチェーンに使用するとしています。

また、OntologyやDfinity等のプロジェクトは、コンセンサスアルゴリズムの一部としてVRF(Verifiable Random Function)を使用するとしています。

一方、彼らのプロジェクトに使用されるシャーディングの特徴は、VRFによってシャードを選択するシステムを採用していることであり、今後は、メインネットへの移行と、その柔軟性あるプラットフォーム開発という試みの実証が期待されています。

MultiVACの挑戦するDappsプラットフォームの開発は、上記イーサリアム等のプロジェクト以外にも、競合となるプロジェクトが多数存在しており、今後の彼らのプラットフォームから、実際的にどのようなサービス・プロダクトが生まれるのか注目されます。

参照 
・https://www.mtv.ac/index-zh.html
・https://www.mtv.ac/assets/file/MultiVAC_Tech_Whitepaper_V0.1_cn.pdf
・https://www.jianshu.com/p/faca3d78b9b3
・http://blog.sina.com.cn/s/blog_18b6d5d170102y9l2.html
・https://www.chainnews.com/articles/952451122636.htm
・https://www.lagou.com/jobs/4792717.html
・http://www.qukuaiwang.com.cn/news/10725.html
・http://www.diankeji.com/blockchain/42295.html
・http://www.weilaicaijing.com/article/15507
・http://www.dayqkl.com/38286.html
・https://www.tuoluocaijing.cn/article/detail-3511.html
・https://www.hibtc.org/17181.html
・https://www.xqs360.com/showinfo-61-3722-0.html
・https://www.block123.com/nav/578431869368.htm
・https://www.qichacha.com/firm_91a102c97a5d6f03f9516d8b15e57feb.html
・http://cs.tju.edu.cn/csweb/xyfc/yxxy
・http://www.sohu.com/a/121294429_381979
・https://36kr.com/p/5124811.html
・https://baike.baidu.com/item/%E8%96%AA%E4%BA%BA%E8%96%AA%E4%BA%8B
・http://tech.huanqiu.com/business/2017-03/10401255.html
・https://club.1688.com/threadview/47396463.htm

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