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世界規模ヘッジファンドであるクォンタム・ファンドの首席研究員:姜罗罗博士『デジタルマネーは若者にとっての希望となる』

投稿日:2017年12月8日 更新日:

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中国 AI 人工知能 ブロックチェーン

【要約】
・クオンタムファンド研究員、温州大学副教授の姜罗罗がデジタルマネーについて書いた記事
・デジタルマネーの出現もまた貧富の差を広げるだろうが、それはまた若者に経済的自由を手に入れるチャンスを与えるだろう。
・デジタルマネー領域とブロックチェーン領域の主導権を握るには、中国は多くの若者がその領域に飛び込むようにするべきだ。

記事の筆者:姜罗罗博士プロフィール
フリブール大学客員研究員、アリゾナ州立大学への国費留学を経験。
複雑ネットワーク、ウェブマイニング、進化ゲーム領域の研究に従事。
現在までに発表した論文はSCIにおいて300回あまり引用がなされている。
2014年温州市科学技術進歩三等賞獲得。
中国国家自然科学基金委員会での2つのプロジェクトを経て、現在は浙江省自然科学基金と温州市公益科学計画にてプロジェクトを主任。
PLOS ONE編集委員、クォンタム・ファンド首席研究員、温州大学副教授。

※クオンタムファンド:ジョージ・ソロスが創立した世界規模のヘッジファンド
※SCI:Science Citation Index、文献の間の引用情報に関する索引であり、ある文献がどのようなより新しい文献によって引用されているかを読者が容易に知ることができるサイテーションインデックスの一つ

 

多くの人々が承知の通り、我々のインターネットは絶え間なく進化していく。コンピュータネットワークからソーシャルネットワーク、そして再び、バリューネットワークへ。
その間、我々が情報を取得するためのコストは低下していく。

 

たとえば今、我々はポータルサイトで情報を得る事は殆ど無い。それはWechatなどのソーシャルネットワークに置き換わり、”タイムライン”が情報をくれる時代となった。
情報はシェアされる過程で価値を生み、人々は情報をシェアすることで収益を得ることも出来る。
そしてまた、そのインターネットに、全く新しいモデルであるデジタルマネーが生まれた。現代のデジタルマネー筆頭であるビットコインは、その価値を表す代表でもある。

 


デジタルマネー:人類社会を表す鏡

ここ数年、デジタルマネーは急激な速度で発展し、それはビットコインから、スマートコントラクトを備えるイーサリアム(ETH)、匿名性通貨であるダッシュ(DASH)等、様々なシーンを想定したアルトコインへと拡大していった。
ギークから一般投資家へ、デジタルマネーへの投資も拡大し、そのようなデジタルマネーが認知される過程もまた、一つのバリューネットワークにおける過程であり、それはまた、人類社会がそれを受け入れる様子を映した鏡であるとも言える。

 

 

デジタルマネーは若者の新しい希望となる

主権国家はデジタルマネーに対して様々な態度を見せているが、金融機関は、ある一定の過程を経たあと、少しずつ、デジタルマネーを受け入れようとしている。
ウォール街の代表であると言えるゴールドマン・サックスは、当初、ビットコインはチューリップ・バブルと同じだろうと攻撃した。しかし、彼らは今年に入り、大量のビットコインを購入し、前後の態度を180度転換させている。
政府がデジタルマネーに慎重な態度を崩さないとしても、多くの金融機関は動き出すだろう。
筆者は、2018年には更に多くの金融機関がデジタルマネー領域に足を踏み入れると予想している。そして、その時、ビットコイン1枚の価格は5万ドルを越える可能性がある。

一般市民へのデジタルマネーへの認知過程は複雑だろう。
現在、ビットコインのアクティブなアドレスは数百万個程度だと言われている。その数字を元にすれば、世界でデジタルマネー領域に足を踏み入れている人間の数は、1000万人を超えていないと予想される。世界の人口70億人からみれば、この数字はとても小さいものである。
そしておそらく、それらの人々は若者たちがその多くを占めているのではないだろうか。
筆者がその界隈を見渡す限り、40歳以上の投資家はデジタルマネーへの興味が薄い傾向がある。

 

ある面から眺めると、彼等は自身の知識を増やすことを拒んでいるように見えるかもしれない、しかし、また別の面から眺めれば、彼等は高騰してしまったデジタルマネーのバブルが崩壊したあと、下値で買いを入れるチャンスを伺ってもいる。
当然、彼等がどのような望みを持とうとも、発行上限が予め決まっているデジタルマネーはデフレ通貨であることは変わらず、そしてそれは、その価値が上昇していくことを意味する。

 

 

マタイ効果:デジタルマネーは貧富の差を更に広げる。

デジタルマネーへの理解度の違いによって、人々は価値の転移に伴う富を得ることとなる。これは世界に広がる貧富の差を更に加速させるだろう。
キャップジェミニ(フランスのコンサルタント企業)が最近発表したレポートによれば、世界の資産の86%は、たった10%の人々によって所有されており、そのうち、100万ドルを超える資産を持っている人口が最も多いトップスリーは、アメリカ、日本、中国となっている。
同じような状況はビットコインの世界でも現れている。

 

ビットコイン所有量が高いトップ100のアドレスは、既に378万枚のビットコインを所有しており、それは現在の総流通総量1600万枚の23.6%を占める。
《2017年フージワーフ富豪ランキング》によれば、世界のトップ100の富豪の合計財産は2.32兆ドルとなり、世界の全ての財産280兆ドルの0.8%を占めている。
このことから分かるのは、デジタルマネーの財産は、通常の資産よりも、そのより多くが、富める者がより多くを所有しているという現象を表していることである。

 

更に重要な事は、デジタルマネーに触れている人間の中で、40歳以上の者は圧倒的に少なく、20歳を中心とした若者が圧倒的に多いということだ。
そしてまた、歳を重ねている者は、更に株式ファンドや財テク商品への興味も薄い。

 

この種のデジタルマネーへの認知の程度の差は、情報の非対称性を生み、社会における貧富の差を加速させるだろう。そしてまた、それは、若者にとって、経済的自由を手に入れるチャンスともなる。

 

 

未来は既に現実となった:デジタル経済の潮流

デジタル経済の突撃兵であるデジタルマネーは様々な困難を乗り越え、
今、実際的な形となった。デジタルマネーの時価総額は2兆ドルに達しようとしている。

そしてそれは、世界のトップ100の富豪がもつ財産と同等額となる。

 

我々は、今まで見たことのない光景を目の当たりにしているのだ。
まず打撃を受けるのは、金融システムだろう。
もし、AlipayやWechatpayが現行の銀行システムに暴風雨を巻き起こしたとするならば、デジタルマネーの台頭は、銀行システムに対するマグニチュード8.0レベルの地震となり、その根本を揺り動かす事となるだろう。
これから、より多くの一般庶民がデジタルマネーへの投資を始める。それは、資産のデジタル化を意味し、どのような人も、どのような組織も、その現象から逃れることはできない。

 

孫文の有名な言葉を借りれば、”世界の潮流は滔々と流れ、その流れに乗るものは栄え、逆らうものは滅びる”、人々は、デジタルマネーへの認知を改める時が来ているのである。
デジタルマネーは我々の予想出来ないような発展を遂げて我々の前に現れる。
我々はただただ、その潮流に身を任せることしか出来ない。
そうした中、中国がその領域の主導権を握るためには、より多くの若者がその領域に飛び込むような環境を準備することが大切ではないだろうか。

翻訳元:http://www.jinse.com/news/bitcoin/107012.html

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