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中国AIの潮流の背後、誰が第五のイノベーションプラットフォームとなるのか?

投稿日:2017年12月6日 更新日:

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中国 AI 人工知能 ブロックチェーン

【要約】
・HAIER、HUAWEI、XIAOMI等、多くの企業がAI領域にある大きなチャンスと潜在力に注目している。
・HAIERは住環境にAIを浸透させようとしている。
・XIAOMIはバイドゥとともにIoT領域でのAI活用を発表した。

 

Haierであろうとも、HUAWEI、XIAOMIであろうとも、それは同じだろう。AI領域には巨大なチャンスと発展が眠っており、中国のBATを筆頭とする巨大企業の後ろから、様々な企業がそこへ参入しチャンスをものにしようと動き出している。AIは当初から、新しいビジネスを作り出すと言われていた。それは、多くの産業がAI技術によって生まれ変わることを意味する。

 

AIの起源は、1956年にまで遡る。当時、アメリカのダートマス大学が開いた学会で、AIは定義された。その後、AIは、その発展過程において、それに対する関心度も何度か浮き沈みしている。その間、AIの話題が盛り上がることもあれば、当然、疑いの目を向けられることもあった。最近では、2016年にグーグルが開発したAlphaGoが李世石(韓国の囲碁棋士)に勝利した際、AIへの関心度は再び高まったのではないだろうか。

 

そして、今回の関心の高まりは、中国国内及び世界各国に広がり、その背後に巨大なマーケットを動かす力を作り出していった。一次市場では、大量の資金がAI領域へ注ぎ込まれ、二次市場では、Amazonのクラウドコンピューテ ィングサービスAWSを筆頭に、AIに関連するビジネスは良好な成績を収め,マーケットでの価値を高めている。それ以外でも、中国国内マーケットではAIの可能性を重視しており、政府の政策もまた、それを重要なものとして扱っている。

 

中国の国務院は、2016年5月に《”インターネット+”AI三年行動実施プラン》を発表したあと、2017年7月20日には《新世代AI発展プロジェクト》を発表し、中国AI産業の発展戦略を定義している。また、2017年11月15日、中国は中国新世代AI発展プロジェクト及び重大テクノロジープロジェクト大会において、中国の国家AI開放イノベーションプラットフォーム4つを発表した。それらは、バイドゥの自動運転、アリババの都市ブレイン、テンセントの医療映像、アイフライテックのスマートオーディオが国家新世代AI開放イノベーションプラットフォームとして指名され、中国が国を挙げてAIの発展に注力し、またその領域の覇権を握ろうとしていることを示した。

 

ビックデータ、クラウドコンピューティング、音声認識システム、顔認証システム、セキュリティ、モーションキャプチャー、スマートマニュフェクチュアリング等の新しいテクノロジーは、次第に大きな発展を遂げ、既にその技術が実際的に製品やサービスとして実用化されている物も多い。そのような環境の中では、新しいテクノロジーは”新しいビシネスインフラ”に進化していると言えるだろう。中国では、大手のBAT以外にも、Haier、HUAWEI、XIAOMI、美团外卖、Didi、今日头条等、多くの企業がAI領域に進出している。

 

それでは、一つ問題を考えてみよう。
バイドゥ、アリババ、テンセント、アイフイテックに続く、第五のAIプラットフォームになるのは、誰なのだろうか?

 

2016年9月、HUAWEI創始者である任正非は、社内での講演において、HUAWEIのAI領域戦略を初めて語った。彼は、AIは将来的に主要な製品に無くてはならない存在となり、また、組織のスマート化を促すことも可能とするだろうと語った。また、2017年9月、ドイツベルリンで行われた国際コンシューマ・エレクトロニクス展においては、HUAWEIは初めてのAI内蔵モバイルCPUであるKIRIN970を発表した。多くの報道がある中でも、HUAWEI内部ではAIの実用化が着実に進んでいたようだ。2018年に向けて、我々はHUAWEIの更なるAI領域における躍進を期待したいと思っている。

 

スマートホーム領域では、Haierが同じようにAI革命を行っている。11月28日、HaierはU-home(スマートホームハブとなるアプリケーション)+AIによって、スマートホーム領域の新しい形が出来上がると発表した。

 

その発表のなかで、HaierはAI領域のイノベーションは、スマートホームにおける音声システム、顔認証システム、食材識別システム、衣服識別システム等、7つのAIシステムを作りあげ、それは既に住環境の中の水、空気、空調、セキュリティ、健康、娯楽、教育などの8つのシーン、リビングやキッチン、トイレ、寝室等の5つの場面に適応されると発表した。

 

実際的には、この発表の主役はHaier U-homeであり、それは2014年から彼らが始めた試みの蓄積でもあった。2014年当時、Haierは初めてAIによる生活プラットフォームであるU-homeを発表し、それを通した、人、ロボット、物のIoTを中国の家庭に浸透させるとしていた。2016年3月、彼らはU-homeにスマートホームAIを融合させ、強力な音声認識システムと言語認識技術を利用できるようにした。また、その年の6月には、HaierスマートホームWEBをバージョンアップさせ、11月にはAIによる展望、マーケットトレンド、そして規格の標準化などを発表し、国際的なIoTとの連携を深め、そのホワイトペーパーを2018年には発表するとしている。

 

この発表で彼らが示したものは、家電業界を引っ張るHaierが推し進める、AIによる問題解決の提案と、AIを全てのシステムにリンクさせることで実現する、よりスマートでより素晴らしい生活の提案ということだろう。ディープラーニングを使用したスマートホームは、家事における問題解決を行うためのAIプラットフォームとして相応しく、Haier U-homeがそれを実現すると彼らは発表したのだ。そしてまた、彼らはsogou.comと共にAI領域でのパートナーシップを結ぶことも発表した。将来的にHaierとsogou.comは、そのグループによる共同開発及びサービスの実用化を行い、それはまた家電領域によりナチュラルなIoTを提供するだろうとしている。

 

11月28日には、XIAOMIも初めてのIoT開発者フォーラムを行っている。彼らはそこで、バイドゥとのIoT領域でのパートナーシップを結ぶことを発表し、画像認識やディープラーニング、言語、視覚、自然言語処理、ロボット、無人運転、AIチップ、VR/AR等の様々な技術領域で深く協同し、XIAOMIのIoT戦略が新しい一歩を踏み出したことを示した。XIAOMIはもう既にただのスマートフォンメーカーでは無くなっているということだろう。彼らはモバイルインターネットとスマートフォンによって得た利益を、惜しみなくAI領域に散らばるチャンスを掴むために投資したのだ。そしてそれは、バイドゥとのパートナーシップ以外でも、スマートホーム領域でXIAOMIが推し進めるインターネットに繋がれたスマートTVや、スマートホームに必要なハブ機器、その他ハードウェアへと広がっていく。いままでのイメージを覆した、新しいブランドとしての”XIAOMI”が、AIによって出来上がるのである。

 

Haierであろうとも、HUAWEI、XIAOMIであろうとも、それは同じだろう。AI領域には巨大なチャンスと発展が転がっており、BATなどの巨大企業の後ろから様々な企業がそこへ参入しチャンスをものにしようと動き出している。多くの産業はAI技術によるビジネスモデルの新しい定義、そしてそのビジネスロジックの本質的な変化に大きな価値を感じているのだ。スマートホーム、自動運転、医療や健康、金融テクノロジー、スマート物流等の領域で、AIはテクノロジーをバージョンアップさせ、産業価値を最大化させる。それはまた、デジタルデータをより重要な生産資源とし、商業決済をよりスマートに変えるとともに、人々の生活もまた、実質的に変えていくこととなる。

 

もう一つ別の角度からその現象を眺めると、AIに代表される新しいテクノロジーは、消費を底上げするような新しい概念を実体経済にもたらすだろう。それらは中国政府の推し進める一帯一路のような代表的政策とともに、中国のイノベーションの方向性を決定付けることになる。今日、中国の消費の上向きには大きな関心が寄せられているが、そこには大きなチャンスがまだ眠っている。新しい世代の消費者は、スマートホームやより便利な生活に対して憧れを抱くようになり、新しい技術の実際的な使用は、生活の中へよりスムーズに溶け込んでいくことだろう。

 

Haierは家電業界の大手企業であり、彼等は長い年月を家電領域における研究とイノベーションに捧げてきた。HUAWEIやXIAOMIからすれば、それはスマートホーム領域で突出したハードウェアの優位性を彼等が既にもっていることを意味する。彼らの生み出す製品に、より多くの、そしてより広い活用シーンが存在すれば、AIに対しての投資は家電産業の停滞という概念を打ち消すことになるだろう。彼等は2014年から既に先手を打ち、Haier U-homeという開放的なイノベーションプラットフォームを作り上げてきた。新しいテクノロジーを、彼等は一つも内部に保留することなく、多くのパートナー達へ公開してきたのだ。そうした研究によって生まれた製品は、人々の生活をより良く、よりスマートに変えていくことになる。多くの人々は当然、AIの重要性を認識しているが、各々が生活する”家庭”というレベルにおいては、まだまだAIは発展段階を超えていない。総合的に見て、Haier U-homeの技術開発、製品イノベーション及びそれに連なるサプライチェーンは、優位な競争力を持っていると言えるだろう。更に、Haierの企業内部から既にオープンに開放されているそのシステムは、彼等に更なる優位性をもらたすのではないだろうか。

 

中国のAI産業連盟専門委員会副主任を務める钟义信は、11月28日にこう語った。

「中国には現在、既に4つの大きなAI開放イノベーションプラットフォームがあります。同時に、AIはスマートホーム領域において、これから、全ての市民に対して、サービスを提供することになるでしょう。もしHaierが、中国政府が選ぶ5つ目のAI開放イノベーションプラットフォームになるのであれば、我々中国のAI領域における発展と実用は、更に深まることとなるでしょう。」
誰が中国における第五のAI開放イノベーションプラットフォームとなるのか、我々は心の中で異なる答えを想像しているだろう。しかし、AIが人類によりスマートでより良い生活をもたらす未来は、今までに想像もしたことのないスピードで、我々の目の前までやってきているのである。

翻訳元:http://tech.ifeng.com/a/20171201/44787311_0.shtml

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