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中国国家が人工知能プロジェクトを発足する時代に突入、巨大企業が兆単位の膨大市場を奪い合う

投稿日:2017年12月8日 更新日:

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中国 AI 人工知能 ブロックチェーン

【要約】

2018年までに、世界の人工知能の市場規が2000億ドル以上だと予想され、超大手企業が1兆人民元を超える市場で争奪戦を繰り広げ、人工知能が国家駆動の時代に入った。2017720日、中国国務院は『新世代人工知能成長計画』を公表し、2030年までの中国人工知能の成長を「3つのステップで歩む」方針を明確した。ステップ1として、2020年までに初期技術標準・サービス体系と産業エコシステムを構築するという。

 

2018年までに、世界の人工知能の市場規模が2000億ドル以上と予想
巨大企業が兆人民元単位市場を争奪。人工知能が国家駆動国時代に突入へ。

 

2017720日、中国国務院は『新世代人工知能成長計画』を公表し、2030年までの中国人工知能の成長を「3つのステップで歩む」方針を明確した。ステップ1として、2020年までに初期技術標準サービス体系と産業エコシステムを構築し、複数の世界でリードするトップレベルの基幹企業を育成し、中核産業規模を1500億以上まで成長させ、1兆人民元以上の産業規模を牽引させる。ステップ2として、2025年の知的製造、知的医療、知的都市、知的農業、国防建設など幅広い分野に応用を広げ、中核産業規模を4000億人民元以上まで成長させ、5兆人民元の関連ビジネスを牽引する。ステップ3として、2030年までに生産・生活・社会ガバナンス、国防建設などの面において、大いに広げ・深め、コアテクノロジー・コアシステム・サポートプラットフォームや知的応用の完全な産業チェーンを形成し、中核産業規模を1兆人民元以上まで成長させ、10兆人民元の関連ビジネスを牽引する。

これは中国国務院が人工知能コンテストのゴーサインを出したこととなり。『中国経営報」新聞社記者によると、伝統PCメーカー大手のレノボ社は720日当日に、全面的に人工知能に転換する戦略を打ち出した。726日、中国電子商取引会と「京東家電」を初め、長虹(Changhong)、TCL、海信(Hisense)、小米(MI)、楽視(LETV)など約20社の企業と機構は「人工知能テレビ産業アライアンス」が正式に発足したことを公表した。ゴーサインが出された前に、Baidu(バイドウ)、アリババ、テンセント、ファーウェイなどの大手企業は既に戦略を打ち出した。「All in AI」戦略を公表したBaidu社が人工知能により、コースのカーブで追い越せるか、人工知能プロセッサを開発しているファーウェイが要素技術領域で躍進できるかは、特に注目されている。

某人工知能スタートアップ企業の責任者が記者に言うには、中国で政策的な支持は原動力となり、中国国内企業は相次いで人工知能戦略を更新して、ある意味で「複数の世界でリードするトップレベルの基幹企業」のリストに乗りたく、中国の人工知能の新世帯をリードしたい思惑が見られる。

 

3つのステップで歩む」戦略

中国は世界初の人工知能戦略計画を公表した国ではない。

中国工程院(Chinese Academy of Engineering)会員の潘云鶴氏が記者に言うには、アメリカが201610月に「国家人工知能研究開発戦略計画」を打ち出した、イギリスも201612月に「人工知能:未来意思決定のチャンスと影響」を公表した。フランスが20174月に国家人工知能戦略を策定した、ドイツが20175月に世界初の自動運転関連法律を公表した、日本が今後10年間に1000億円(約9億ドル)を投資して、生産力、交通物流などの4つの注力分野の人工知能開発を促進することを公表した。

 

但し、人工知能領域への注目と重要視において、中国は恐らく世界で最も早く動いた最速の国の1つである。潘云鶴氏がいわく、中国国務院が20157月に公表した『積極的に「インターネット+」を推進する取り組みについての指導意見』において、既に「インターネット+人工知能」を11の重要行動の1つに指定した。発展改革委員会など複数の管轄省が20165月に公表した『「インターネット+」人工知能3ヵ年行動実施案』で、2018年までに「千億レベルの人工知能市場応用規模を形成」することを提起した。2017年に開催された国全国両会(全国人民代表大会と全国人民政治協商会議の総称)で、国務院総理の李克強氏は政府活動報告書で、「全面的に戦略的新興産業発展計画を実施、新素材・人工知能などの技術研究開発と移転を加速」を提起した、これは人工知能が初めて政府活動報告書に言及されることとなる。

レノボホールディング会長の柳伝志氏は、この前の世界インテリジェント大会で、「今は中国にとって重要な時期であり、未来科学技術の競争は国や企業の運命に掛かっている。」と表明し、Baidu(バイドウ)創業者の李彦宏氏は「世界では、中国のように、これほど膨大なマーケットとデータの規模を持っている国はほかにない、中国は人工知能の時代において、世界の成長をリードする条件が整っている。」と表明した。インテル社グローバル副総裁兼中国地域総裁の楊旭氏は本紙記者の取材に対し、「中国の科学技術エコシステムが世界で最も活力のあるイノベーションセンターの一つである」と表明した。今、政府が人工知能規模を打ち出したのは、人工知能の中国における発展に大きなプラス要因となっている。

中国科学院副院長・中国人工知能学会副理事長の譚鉄牛会員は2016年に、2016年の世界人工知能の市場規模が1650億ドルに達し、2018年に2000億ドルを超えると予測した。

中国は世界と同期し始めた

米国は1969年発の軍用コンピューターネットワークARPANET(アーパネット)から、世界をリードし、PCインターネット時代に入った。PCインターネット時代はインテル/ AMD +マイクロソフト+ヒューレット・パッカード/デル/レノボなどPC大手+ヤフーなどポータルサイトがリードする時代だった。

 

中国は1994年に初めて64Kの国際専用線を開通し、フル機能で世界のインターネットに接続でき、中国PCインターネット時代の到来を宣言した。PCインターネット時代において、中国は追従者だったが、中国企業にも時代の英雄が輩出し、遅れをとらないレノボや、新浪(Sina)、捜狐(Sohu)、各種メディアなどのポータルサイトもある。

 

PCインターネットからモバイルインターネットへの進化は3 G商用を条件とした。国際電気通信連合は20005月にWCDMACDMA 2000TD-SCDMAWiMAXを世界43 G標準に指定し、モバイルインターネットの到来を宣言した。モバイルインターネット時代はクアルコム+アップル(iOS/グーグル(Android+サムスン/ファーウェイなどのスマホ端末メーカー+ Facebook /Wechatなどのアプリが世界をリードしてきた。

 

中国工信部(中国工業&情報化省)は200917日午後に、中国移動(チャイナモバイル)、中国聯通(チャイナユニコン)、中国電信(チャイナテレコム)3社にそれぞれ3 Gライセンスを配布して、中国が本格的にモバイルインターネット時代に入ったことを宣言した。モバイルインターネット時代で、中国の要素技術分野で聯発科(MediaTek)、展訊(Spreadtrum Communicationsのような企業が台頭して、メジャー市場でクアルコム社と対抗できなかったが、ある程度の市場シェアを獲得した。また端末機器において、ファーウェイ、OPPOVIVOXiaomiなどの中国スマートフォンメーカーはサムスン・アップルと激戦している。アプリにおいて、WechatFacebookと肩を並べている。

 

新しい時代が新しい英雄を生み出し、スタート時期の人工知能もそうでしょう。AIインターネット時代に入ると、依然として要素技術、オペレーターシステム、ハードウェアとソフトウェアなどの分野における時代の英雄が登場する。現在、要素技術分野において、グラフィックプロセッサGPUで有名なNVIDIAは最近2年で急速な上昇を果たした。PCインターネット時代の王者のインテル社もAltera社を167億ドルで買収して、FPGA技術を獲得して、広く利用している。クアルコム社は直近神経処理エンジンを公表し、次のステップで当エンジンのハードウェア化を実現し、AI専用チップを打ち出す。


オペレーターシステムにおいて、
Google頭脳、Baidu頭脳などのようなシステムは時代をリードしている。同時に、多数のイノベーション企業もこの領域で加速している。例えば、Baidu・ファーウェイ出身の技術奇才戴文渊氏が創業した第四範式(4Paradigm)も、PCインターネット時代のWin95のようなオペレーターシステムの開発に取り組んで、Win95 PC利用のハードルを下げたように、人工知能が各業種における普及ハードルを下げようとする狙いである。

応用の面において、今AIスピーカーが熱くなり、各企業はシェア拡大に賭けている、AIスピーカーが人工知能時代のエントランスになることを期待している。

 

喜と憂

未来のAIインターネット時代がPCインターネット及びモバイルインターネット時代との違いは、中国が過去の追従者から、世界のリードになり得ることである。

 

要素技術の分野において、NVIDIA、インテル、クアルコム及び既に人工知能チップの開発を発表したグーグル、アップル、マイクロソフトは世界の焦点となっているが、中国では、中国科学院計算所の寒武紀(Cambricon)、上海西井科技(Westwell lab)のニューロン脳類似チップ、中星微(imicro)の組み込み神経ネットワークプロセッサなども、有益な試みとなっている。もちろん、もっとも注目されるのはファーウェイである。近日の2017年中国インターネット大会において、ファーウェイコンシューマー業務CEOの余承東は、ファーウェイが独自で人工知能プロセッサを研究して、今年の秋に人工知能専用チップを売する予定と公表した。

 

CCIDコンサルティングの某研究員が記者に言うには、PCインターネットの時代及びモバイルインターネット時代と違い、人工知能が技術における流派が多く、現在要素技術の研究開発分野に切り込んでいる企業も多く、現在GPUFPGAの応用が多いが、未来の市場がどうなるか予想しにくい状態である。ファーウェイがスマートフォン分野での躍進により、海思半導体(HiSilicon)も急速に成長し、業界で無視できない存在となっている、ファーウェイは人工知能の要素技術領域において、実力のある存在感となっている。

 

同研究員はまた、Google Baidu、が人工知能オペレーションシステムの勝者になれるかどうかについて、現時点では、その兆しがあるとしか言えない。人工知能が新しい時代を切り開いて、すべての新しい時代が新しいリーダーを生み出せる、ベンチャー企業にもそのようなチャンスが恵まれる可能性がある。

 

Baiduの問題とは、最も広い分野で取り組んで、最も多くのトップ人材を引き込んだ中国人工知能の代表企業である一方、人材の流失も一番激しい。この数年Baiduから流失した人工知能技術の「スーパーエンジニア」として、最近退職して創業したBaiduの主任研究員の呉恩達氏、2016年に退職して創業したBaiduの元チーフアーキテクトのJames Peng氏、2015年に退職して創業したBaiduの深層学習研究院(IDL)創始者の元常務副院長余凱Baidu IDL元傑出科学者の呉靭氏Baidu IDL元シニア科学者鄧亜峰及び前記の戴文淵氏などがいる。関連統計によると、Baiduの退職創業及び転職した人工知能技術の「スーパーエンジニア」が10を超えている。さらに、退職創業したプロジェクトは、未来のBaiduのライバルになるかもしれない。

 

また、注目すべきこととして、Baidu727日に市場予想を上回った2017年度第2四半期決算を公表することにより、Baiduの株価が7.3%上昇したにもかかわらず、京東(Joybuy)社の株価は連日最高値を更新して、時価総額がBaiduとわずかの50億ドルの差まで縮まった。

翻訳元:http://ai.ailab.cn/article-85028.html

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