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アリババクラウド・インダストリアルのAI応用シーン

投稿日:2017年12月5日 更新日:

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中国 AI 人工知能 ブロックチェーン

【要約】
・アリババクラウドET工業ブレインは、中国が推し進める工業プラットフォームとしての役割を担う
・今後、500社にのぼる大手製造業に対してサービスを提供する目標
・中国制造業2025戦略に向けて、アリババクウラドはどのように中国国内の製造業を支えていくのか

「AIと工業の融合において最大の障壁となるのは、工業系企業が何かの問題を発見した場合、サプライヤーはその問題を認識できず、またサプライヤーは自分自身が熟知している企業以外では、その他の企業と深くパートナーシップを結ぶことができないということだ。」
先日、《21世紀経済報道》が主催した”2017年中国AI製造業大会”において、アリババクラウドET工業ブレイン主席システム設計師の刘宇航はそう語った。アリババクラウドは現作、工業領域でAIプラットフォームを活用し、それらの障壁を取り除くという仕事を行っている。

 

2017年はAI元年である。

中国の国務院はAI戦略プロジェクトを発表し、中国の技術部は2017年11月15日に新世代AIの発展プロジェクト及び重大テクノロジープロジェクトを始動させた。そして、アリババクラウドET都市ブレインは、既に中国の選んだ国家新世代AI開放イノベーションプラットフォームとなっている。

また、中国の工業情報化部(MIIT)は、2017年10月に執り行われた全国クラウド技術交流会において、アリババクラウドは正式に中国の認める工業プラットフォームとなり、中国電子情報産業発展研究院とMIIT第五研究所と共に、”国家工業AIパブリックサービスプラットフォーム”を立ち上げると発表している。

アリババクラウドの”ET工業ブレイン”は、中国の工業クラウドプラットフォームのシステム設計の任務を担った。そして、そのプラットフォームサービスは工業企業を対象とし、まずは500社にのぼる大手製造業企業へサービスを提供する。また、将来的には、中小の製造業企業を含む10万社へそのサービスを拡大し、最終的な運営体制は専門的なパブリックサービスの能力を備えるとしている。

「2015年に【中国製造2025】戦略が出された後、アリババは常にこう考えていました。我々が中国の製造業のために出来ることは何なのだろうか、と。」
刘宇航はそう語り、以下のように続ける。

「アリババは製造業を行う企業ではありません。しかし、我々は、常に製造業と共にありました。毎年行われるショッピングセール【双十一】、【6.18】、これらにおいてアリババは常にデータを元にした生産指導を行ってきました。そこには生産のみならず、人材、技術、データといった貴重な蓄積があり、我々はそれらビックデータとデータ分析の技術を生産ラインへ落とし込んでいきました。」

アリババクラウドET工業ブレインは、アリババクラウドにAI技術からなる工業用スマートサービスを併せた体系を取る。アリババグループが十数年の間、発展とともに蓄積した計算能力を備え、AIはアルゴリズムによる完全なインターネットセキュリティ体制をも構築している。

アリババクラウドのAI技術以外にも、ET工業ブレインには工業領域の技術が集められており、経験とデータに基づいたスマートツールは、製造業企業の企業情報から製造設備、生産物、物流運送、人材資源、データ設計、アナログシュミレーション、デジタル化制御の各部分を通して、研究、生産、販売の全てのチェーンを一元管理することが出来る。それは、企業の効率最大化をAIが後押しするということである。

中国保利集団公司傘下の苏州协鑫光伏科技有限公司(ソーラーパネル製造会社)は、2016年8月からET工業ブレインを導入している。工場の温度、湿度、モルタルの上下部の温度、ガイドホイールの上下部の温度等、1000を超える生産に関するデータをソーラーパネル生産にリアルタイムで反映し、これらの試みにより製造効率の向上を成し遂げた。ET工業ブレインは、全てのデータを元にディープラーニングを行い、製品の不良品発生率低下に寄与する60の方程式とパラメトリック方程式を使い、生産過程におけるリアルタイムの観察と制御を行う。そうして、アリババクラウドが推し進めるスマートマニュファクチュアリングは、彼らの事業所における一人あたりの生産量を506%に高め、生産サイクルを50%縮小し、直接的な人的コストを45%削減した。また、この企業が出した財務報告によれば、2017年上半期の営業収益は114億中国元となり、18.6%の収益上昇を成し遂げている。

それ以外にも、2016年11月、アリババクラウドET工業ブレインは、中策橡胶集团有限公司において、ゴム製品の製造をスマート管理するプロジェクトも行っている。この会社は、中国最大のタイヤ製造企業であり、ゴムは彼らの主要生産物の原料となっている。しかし、天然植物であるゴムは、産地の違いや納入時期の違いで、様々なデジタル数値の波を作るため、中策橡胶集团有限公司は大量の社内資源を製品や原料の検品に使わざるを得ない状況であった。

そこで、アリババクラウドは、ET工業ブレインによって、それらゴムの原料や生産設備の各種データを蓄積、ディープラーニングし、分析し、より合理的な生産方法を組み上げた。例えば、どの産地の原料とどの産地の原料を組み合わせるのが一番品質の良いものとなるのか、どのような工業的加工をすれば最もゴムの性能を引き出せるかなどを提案していった。それらの方法により、この企業のゴム材料合格率は300~500%の向上を成し遂げることに成功する。それは、全ての製造業において1%合格率を上げることがどれだけ大変かということを考えれば、非常に大きな利益をもたらすことを示唆しているという事がわかる。

現在、アリババクラウドET工業ブレインは、新しいエネルギー、化学工業、エコロジー産業、自動車、軽工業、重工業等の異なる領域で、製造過程をデータによって管理し、生産ラインのバージョンアップ、工業加工の改良、設備の故障予知等、様々な方向に発展した仕事を行っている。
「産業規模が大きく資本の流入が多い分野は、多くの競争があるが、AIはそのような領域にも、そこに参与することで更なる価値を生み出している」
刘宇航は、そう語った。

翻訳元:http://www.21jingji.com/2017/12-1/3MMDEzODFfMTQyMTE3Mg.html

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