VeChain(VEN)は、現在、シンガポールを拠点とするVeChain財団(唯链基金会)が中心となって展開している仮想通貨・ブロックチェーンプロジェクトです。
VeChainは、中国語で”唯链”と呼ばれており、現在までに、自動車業界等の実際的なシーンで、ブロックチェーンを使用したイノベーションを続けています。
VeChainプロジェクトは、もともと、中国のbitSE(上海鼎利信息科技有限公司)という会社が2015年から企画していたBaaS(Blockchain as a Service)プロジェクトが前身となっています。
その後、VeChainプロジェクトは、2017年にICOを行い、その頃から、上記シンガポールを拠点とするVeChain財団が、このプロジェクトを先導しているように見受けられます。
目次
■プロジェクトの背景
■アルゴリズム、時価総額等
■創業者やプロジェクトチームについて
■今後の展開
プロジェクトの背景
ユーザーが様々な食品や嗜好品を購入する際、その品物が、果たしてどこから運ばれてきたのか、日本で生活をしている方からすれば、そのような疑問を抱くことは稀であるかもしれません。
おそらく、日本の消費環境は、中国に比べて非常に整っており、買い物をする場合も、ユーザーはデパート等を信頼することが可能となっているのではないでしょうか。
一方、中国では、以前から、食品偽装や嗜好品の偽物の存在が、ユーザーの消費行動に大きな影響を与えていたと考えられます。
どの店舗、どの商品が、信頼出来るのか、ユーザーは、指標となるものを探しており、ブロックチェーンによるトレサビリティーの実現は、そういった課題を解決するものであると言われていました。
VeChainプロジェクトは、当時、上記のようなシーンで、実際的な問題解決を行うためにブロックチェーン技術を応用しようと考えたようです。
当時の彼らは、食品業界や、ブランドバックのメーカー等と提携し、ブロックチェーンによるトレサビリティー実現の取り組みを続けていました。
また、彼らは、プロジェクト初期から、Microsoft等の欧米テック企業と戦略的提携関係を結んでおり、そういった関係性は、ルノーやBMWといった大手自動車メーカーに対して、ブロックチェーンを使用した実際的な問題解決の提案に繋がっています。
たとえば、自動車業界では、新車が販売されてから、中古車として転売され、新しいオーナーの元で管理されるまでに、その自動車の修理履歴をどのように管理するべきかといった課題が存在していました。
ブロックチェーン技術を使用した自動車の修理履歴トレサビリティーが可能になれば、一代の自動車が、これまでどのような修理を行われてきたのか、透明性ある記録として残すことが可能となります。
VeChainプロジェクトチームは、これまで、上記のような実際的なシーンで、イノベーションを続けてきたことが確認できます。そして、それは、VeChainというブロックチェーンプロジェクトが持つ、確かな競争力であると考えられます。
アルゴリズム、時価総額等
VeChainトークンの時価総額は、2018年7月現在1000億円ほどとされています。 また、VeChainブロックチェーンは、コンセンサスアルゴリズムとしてPOA(Proof of Authority)を採用しています。 VeChainのPOAアルゴリズムでは、101のスーパーノードによって認証を行うことによって、高いトレサビリティーを実現するとしています。 101のスーパーノードは、VeChain財団による定期的な評価プログラム等によって選別されるものとなりようです。
創業者やプロジェクトチームについて
現在のVeChainプロジェクトを進めている中心人物は、陆扬という人物だと思われます。
上海に生まれたとされる彼は、上海交通大学の電子通信エンジニアリング学部を卒業後、ルイ・ヴィトン等の有名ブランドでIT関係の職に就いていたとされています。
彼は、ビットコインが誕生した当時から、その可能性に惹かれ、ビットコインコミュニティに身を置きながら独学でブロックチェーンを学んだそうです。
2017年8月の中国のネットメディアでは、陆扬は、シンガポールを拠点とするVeChain財団の事務総長(secretary-general:秘书长)とされており、また、彼は、上海唯链信息科技有限公司という2017年に設立された会社の法定代表にもなっています。
ただし、冒頭で説明した、VeChainプロジェクト最初期のBaaS(Blockchain as a Service)プロジェクトを立ち上げたbitSE(上海鼎利信息科技有限公司)の登記情報によれば、陆扬は現在も、bitSE社の株式を14%ほど保有する株主であると確認出来るため、VeChainプロジェクトとbitSEという会社の関係性が、現在どの様になっているのかは不透明な部分も存在しています。
ちなみに、このbitSEという会社には、当時、QTUMの創始者である帅初が共同創始者として関わっており、最初期のVeChainプロジェクトにも、帅初がCTOとして参加していたとされています。
現在確認出来る登記情報によれば、bitSE社の株式を帅初は20%ほど保有しており、帅初は、bitSE筆頭株主である董事長の钱德君の次に多く株式を保有していることがわかります。
今後の展開
VeChainプロジェクトでは、VeChain Tokens(VET)とThor Power(VTHO)という、2種類のトークンを使用するためのプロジェクトのアップデートが計画されており、現在、VENトークンはVETに置き換えられているとされています。
おそらく、NEOがGASトークンを採用しているように、今後のVeChainは、VTHOトークンを使用した分散型アプリケーションを開発できるプラットフォームとなるものと思われます。
彼らは、そのプロジェクト最初期から、ブロックチェーンによるトレサビリティーに特化し、レガシーな記録台帳に透明性を持たせるという実際的な活動をしてきたことが確認できます。
たとえば、食品やブランド品が安心できるものであるのかどうかという問題は、ユーザーや物流の参加者が、透明性ある流通記録にアクセスできれば解消するものなのかもしれません。
また、中古車購入を検討しているユーザーが、1台の中古車を信頼するためには、その自動車がこれまでどのような修理を行われてきたのか、その記録を遡ることが、解決の一歩になるのではないでしょうか。
VeChainプロジェクトは、BMWやGM、ルノーなど大手自動車メーカーが2018年5月に発足したMOBI(mobility open blockchain initiative)プロジェクトに参加しており、これから、自動車業界でのブロックチェーン技術を使用したさらなるイノベーションがVeChainを中心に立ち上がることが期待されます。
プロジェクトの中心人物である陆扬曰く、このMOBIプロジェクトへの参加は、VeChainプロジェクト側から参加したいと申し出たものではなく、以前よりブロックチェーン技術を通して協力関係にあったルノーやBMWから、参加するように直接呼びかけられて実現したものだそうです。
運営主体ともいえる組織の変貌や、ブロックチェーンのアップデート等、VeChainはプロジェクト誕生からこれまで、様々な変化を遂げていますが、彼らは一貫して実際的な問題解決というアプローチを続けており、そういった姿勢は、MOBIプロジェクトへの参加のような、さらなる発展可能性への、架け橋になっているのかもしれません。
参照 ・https://www.dlt.mobi/ ・http://www.sohu.com/a/236685135_169265 ・http://bichi.one/14199/ ・http://www.8btc.com/bitse-vechain-11-2 ・https://www.qichacha.com/firm_88e67ad85f74bf7abcd9efa87090cb7b.html ・https://forum.qtum.org/topic/85/bitse%E8%81%94%E5%90%88%E5%88%9B%E5%A7%8B%E4%BA%BA%E5%B8%85%E5%88%9D-%E4%BA%A7%E5%93%81%E5%BC%80%E5%8F%91%E4%BB%8E%E7%94%A8%E6%88%B7%E9%9C%80%E6%B1%82%E5%87%BA%E5%8F%91-%E4%B8%8D%E8%83%BD%E4%B8%BA%E4%BA%86%E5%8C%BA%E5%9D%97%E9%93%BE%E8%80%8C%E5%8C%BA%E5%9D%97%E9%93%BE ・https://www.vechain.com ・http://8btc.com/thread-65943-1-1.html ・https://www.jianshu.com/p/4b66f637c852 ・https://coinmarketcap.com/ja/currencies/vechain/ ・http://8btc.com/thread-65943-1-1.html ・https://cdn.vechain.com/vechainthor_development_plan_and_whitepaper_en_v1.0.pdf ・https://www.jianshu.com/p/49b8279ae56e ・http://www.chaindd.com/3078204.html ・https://www.vechain.org/ ■中国ユニコーン企業100社以上総まとめ一覧 ■【Chaitech(チャイテック)編集長の想い】チャイナ(China)とテック(Tech)に愛(ai)を込めて ■ご支援パートナー様募集と今後のChaikuruの方向性