年々増え続ける中華圏からの観光客。彼らが地域経済に及ぼす影響にはかなりのものがあります。是非ともこれら中華人観光客を呼び込みたいものですが、彼らはいったい何を求めて日本にやって来るのでしょうか?迎える側として何に注意したら良いのでしょうか?今日は中華人観光客の体験談から考察してみたいと思います。
中華人が日本旅行で感動したおもてなし体験
①「日本人はみな親切で世話好きな印象だった。買い物の時は店員さんから必ず優しい声で「ありがとうございました」という言葉をかけられた。たとえ少額でもお金を受け取る時は両手を差し出し、常に笑顔だった。これが噂に聞く「お客様は神様」の神髄、まるで春風に吹かれたような心地よさだ。日本人にはこれが日常なのだろうが、中国人にとって日本の接客はそれ自体が一種の娯楽なのだ。」 (http://www.recordchina.co.jp/a94080.html )
②「飲食店で食事をしていた時店員さんが、漬物がここの特産だと教えてくれた。でもお店で頼むと料金がかかるからと、無料で試食できる場所まで教えてくれた。」 (http://www.recordchina.co.jp/a87826.html)
③「空港で預けていたスーツケースを受け取らずに空港を出てしまい、電車で1駅が過ぎたころ気付いた。慌てて電車を降り、空港に戻る電車に乗り換えた。自動改札脇の駅員さんに簡単な日本語で事情を説明したところ、切符も見ずにすんなりと通してくれた。税関に着いたが今度は中に入ることができない。そこで係の人に身振り手振りの日本語と英語で説明すると、すぐにトランシーバーを使って連絡を取ってくれ、出て来た女性が状況を聞きパスポートを確認すると、中へと案内してくれた。この国の温かみのあるサービス姿勢は素晴らしいものがあった。」(http://www.recordchina.co.jp/a89168.html)
中華人旅行者は日本旅行でどのようなホスピタリティを求めているのか
以上の体験からわかるように、彼らが日本に来る目的はもちろん「観光」であり「買い物」であるのですが、日本の細やかで温かみのある「ホスピタリティ」が彼らの満足度をぐんと高めていることがわかります。旅行中のトラブルでさえ、温かい良い思い出となり、中国に持ち帰っています。カギとなっているのは何でしょうか?それはおそらく「儲けを度外視した」おもてなし、というより人として当たり前の親切を示す、ということなのではないでしょうか。実際「良心と節度に深く感動した」「姿勢に心がこもっている」「温かみがある」といった言葉が彼らのコメントの中に数多く見られます。お金や商品を乱雑に扱ったり、不愛想な表情で接客したりすることが当たり前の中国から来た人たちにとって、こうした日本人にとってごく当たり前の接待は「特別に心地よい」ものとして映るようです。
中華人旅行者をどのようにおもてなしすべきか考えてみる
では以上の点を鑑みて、私たちはどのようなおもてなしを心がけたら良いのでしょうか?そう、言うまでもなく「当たり前の接客をごく当たり前に行う」ということです。臨機応変に融通を利かせてあげることも必要でしょう。では、この「当たり前」のことが当たり前にできているでしょうか?当然事前に心構えや準備を十分しておくことは欠かせないでしょう。なぜなら相手は外国人だからです。言葉も通じず、文化や考え方も異なります。島国で単一民族国家である私たち日本人は、こうした異文化のものを無意識に遠ざけようとしてしまう傾向があります。しかし、言葉が不便だからこそ、親身になって助けてあげなければなりません。文化が異なるからこそ、相手の文化を尊重し、こちらの文化を理解していただく必要があります。こうしたホスピタリティは、こちらの心がけひとつで随分と変わってくるものです。設備や交通機関等ハードウェア的なものはお金や時間的制約があり整備していくのは難しいですが、おもてなしする側の心構えは今すぐに手をつけることができます。
中国の大手旅行代理店によると、最近大型連休には代金が3割ほど高くなるにもかかわらず、日本を訪れる観光客が大幅に増加しているそうです。彼らが最も印象的なのは、景色でも物でもなく、日本人のこまやかさや気配りなのだそうです。こうした「おもてなし」を実感して「また日本に来たい」と思う中華人観光客も多いそうです。いまこそ「お客様は神様」、日本の伝統である接客のこの基本に今一度立ち返り、なおかつ相手を「客」としてではなく「人」として接することが必要なのではないでしょうか。