Loopringは、中国語で”路印协议”や”路印”と呼ばれている、資産の分散型取引プロトコルを開発しているプロジェクトです。
Loopringは、現在までに、分散型取引プロトコルによって、異なる仮想通貨やトークンを、非中央集権的な環境で交換できるようにするための挑戦を続けています。
彼らのプロジェクトアドバイザーには、NEOプロジェクト共同創始者の达鸿飞や徐义吉が名を連ねており、今後のLoopringプロジェクトとNEOエコシステムが、どのように関係していくのかも注目されるポイントだと思われます。
目次
■プロジェクトの背景
■Loopringプロトコルによる分散型取引の構成、トークン時価総額等
■創業者やプロジェクトチームについて
■今後の展開
プロジェクトの背景
ビットコインが誕生してから、現在までに、そのブロックチェーン技術や概念を基底とした様々な仮想通貨やトークンが誕生しています。
2017年の一年間では、900件以上のICOが行われたとされており、現在存在する仮想通貨やトークンの種類は、一般的なユーザーがその全てを把握することすら困難な状況となっています。
当然、ICOの中にはプロジェクトが失敗するものや詐欺同然のものも混ざっており、更に言えば、真摯な姿勢で開発が続けられているプロジェクトも、これからはプロジェクト間の競争によって、プロジェクト自体が淘汰されていく可能性もありえます。
しかしながら、それぞれ異なった目的を持つ仮想通貨やトークンを交換・取引する需要は、現在のみならず今後も存在していくものと予想され、非中央集権的な環境で仮想通貨やトークンを交換するためのテクノロジーの開発は、トークンエコノミー等が発展していくための重要なブレイクスルーになるものと考えられます。
現在、仮想通貨やトークンを使用したり、それらに投資や投機を行う場合、ほとんどのユーザーは、中央集権的な取引所を介して、法定通貨と仮想通貨、仮想通貨とトークンの交換を行っているのではないでしょうか。
Loopringプロジェクトは、そういった中央集権的な環境を介した資産の交換ではない、非中央集権的な環境での資産の交換を実現しようとしています。
たとえば、中央集権的な仮想通貨取引所は、常にハッキングの危険性から逃れられません。 また、中央集権的な仮想通貨取引所は、その運営主体が倒産してしまう可能性や、取引所自体が不正な取引を行う可能性も存在しています。
このような中央集権的な環境は、ユーザーの資産を常にリスクに晒していることと同義となり、非中央集権的な環境によって、Loopringプロジェクトはそれらのリスクを排除できるとしています。
Loopringプロトコルによる分散型取引の構成、トークン時価総額等
Loopringは分散型取引プロトコルを開発するプロジェクトですが、ここではまず彼らがLoopringプロトコルに用いるトークンについて確認していきます。
彼らが2017年にICOを行ったLRCトークンの時価総額は、2018年7月現在170億円ほどとされています。
現状、LRCトークンは、Loopringプロトコルがイーサリアムのブロックチェーンネットワーク上で分散型取引を行うために用いるトークンとなっています。
また、彼らは、NEOネットワーク上で用いるLRNトークン、Qtumネットワーク上で用いるLRQトークンといった、複数のトークンをLoopringプロトコルで使用するとしています。
そして、彼らは、それらのトークンを総称して、LRxトークンと呼んでいます。 Loopringプロジェクトでは、Loopringプロトコルのリングマイナーと呼ばれる参与者に、LRxトークンを報酬として付与することによって、非中央集権的な分散型取引を実現するとしています。
Loopringプロトコルに参加するリングマイナーは、ビットコインのマイニングのように、自身の仕事量によって分散型取引を認証し、LRxトークンを報酬として入手(マイニング)します。
ユーザーは、Loopringプロトコルを使用する分散型取引の手数料として、LRxトークンをリングマイナーに支払い、その支払う手数料が多ければ、より早く分散型取引が認証される構造となっています。 現状では、彼らのプロトコルは、上記のようなLRxトークンを使用したプロトコルによって、イーサリアムのブロックチェーンに属するトークンの交換、そして、Qtumのブロックチェーンに属するトークンの交換を、非中央集権的に行うことが可能となっています。
彼らのホワイトペーパーでは、スマートコントラクトを有しているブロックチェーンであれば、全ての同一ブロックチェーンネットワーク上でこのLoopringプロトコルを使用したトークンの交換が可能であるとしており、今後は、NEOのブロックチェーンのみならず、様々なブロックチェーンへLoopringプロトコルが適用されていく可能性が存在しています。
創業者やプロジェクトチームについて
Loopringプロジェクトは、Loopring財団(路印基金会)というイギリス領ヴァージン諸島に登録された組織を中心として、プロジェクトが進められています。
Loopringプロジェクトの創始者は、王东(Daniel Wang)と呼ばれる人物とされており、彼はLoopring財団の議長(主席)を務めています。
王东は、2001年に中国科学技術大学を卒業したあと、2003年にアリゾナ州立大学でコンピューターサイエンスの修士を取得し、2006年にはミネソタ大学でMBAを取得しています。
また、彼は、これまでに、Googleや、ボストン・サイエンティフィック・コーポレーション、中国EC大手の京東(JD.COM)等でエンジニアとして活動しており、過去には、币丰港交易所という仮想通貨取引所や、和金在线というオンライン保険サービスの創業に関わっています。
この币丰港交易所は2015年にサービスを終了していますが、エンジニアとして豊富な経験を持つとされる彼は、ビットコインやブロックチェーン技術、保険等のデジタル金融資産分野に確かな経験を持っており、それは今後のLoopringプロジェクトに生かされていくものと考えられます。
今後の展開
現在の彼らはLoopringプロトコルによって、同一のブロックチェーン上に存在するトークンを非中央集権的な環境で交換することを可能としています。 また、彼らのホワイトペーパーでは、ATS(資産トークン化サービス:Asset Tokenization Services)と呼ばれる仕組みを提案しており、今後は、Loopringプロトコルでは交換出来ない資産を、”信頼できる組織”等によってトークン化し、Loopringプロトコル上で分散型取引を可能するとしています。 たとえば、ATSによって、既存の法定通貨、金融資産や保険等がトークン化されれば、ユーザーは、それらのトークンをLoopringプロトコル上で取引することが可能となります。 同時に、ATSを使用すれば、たとえばNEOのブロックチェーン上に存在するトークンや仮想通貨を、イーサリアム等のブロックチェーン上のLoopringプロトコルでトークンとして取引可能となるため、現在様々なプロジェクトで開発が行われている、異なるブロックチェーン間のクロスチェーン取引が、実際的に実現可能とされています。 当然、このATSを行うとされる”信頼できる組織”が、どのような組織なのか、という問題はこれからの課題であるものと思われます。 たとえば、ATSによってトークン化された資産の非中央集性を高めるためには、”信頼できる組織”そのものが、非中央集権的なものでなければならないのかもしれません。 テクノロジー界隈では、現状、必ずしも非中央集権性がユーザーの利益に結びつくわけではないという論調も存在します。 LoopringプロトコルのATSが、どのように実現されるのか、これは、今後の彼らのプロジェクトの大きな見どころだと思います。
参照 ・https://github.com/Loopring/whitepaper ・https://support.otcbtc.com/hc/zh-cn/articles/115003739291-%E4%BB%80%E4%B9%88%E6%98%AFLRC- ・https://medium.com/loopring-chinese/%E4%BB%A3%E5%B8%81%E4%BC%97%E5%94%AE%E6%80%BB%E7%BB%93-5edef3237f43 ・https://medium.com/loopring-chinese/%E8%B7%AF%E5%8D%B0%E7%A9%BA%E6%8A%95%E7%BB%88%E6%9E%81%E6%8C%87%E5%8D%97-f65dd2acc967 ・https://loopring.org/team.html ・http://www.bitcoin86.com/news/7962.html http://www.baike.com/wiki/%E7%8E%8B%E4%B8%9C[Loopring%E8%B7%AF%E5%8D%B0%E5%8D%8F%E8%AE%AE%E5%88%9B%E5%A7%8B%E4%BA%BA] http://bjaqgs.baike.com/article-5456305.html https://baike.baidu.com/item/%E8%B7%AF%E5%8D%B0/22415351?fr=aladdin ■中国ユニコーン企業100社以上総まとめ一覧 ■【Chaitech(チャイテック)編集長の想い】チャイナ(China)とテック(Tech)に愛(ai)を込めて ■ご支援パートナー様募集と今後のChaikuruの方向性