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中国版イーサリアムと呼ばれるNEOについて

投稿日:2018年7月19日 更新日:

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NEOは、中国語で”小蚁”(NEOの旧名Antsharesを連想させる中国語)とも呼ばれている、仮想通貨・ブロックチェーンプロジェクトの一つです。

NEOには、スマートコントラクトやGASといったイーサリアムと似た概念が備わっており、現在でも、NEOという仮想通貨を説明する際には、”中国版イーサリアム”という表現が使用されることも多く見受けられます。

そういった表現には、当時、既にプロジェクトがスタートしていたイーサリアムと、プロジェクトが立ち上げされたばかりのNEOとの対比や、NEOのプロジェクトチームが中国のメンバーを中心に構成されているといった背景が存在するものと考えられます。

しかし、実際的には、イーサリアムとNEOには、ブロックチェーンプロダクトとして異なる部分も多く存在しており、また、イーサリアムやNEOの後続プロジェクトには、様々な競合する同様のイノベーションが誕生しており、今後は一概に”中国版イーサリアム”といった表現がNEOに使用されることは少なくなっていくかもしれません。

たとえば、イーサリアムでは、そのDApps開発のために専用言語とも呼べるSolidityを用意していますが、NEOでは、DApps開発のためにJavaやC#といった多言語での開発環境を積極的に整えています。

また、NEOには、SVP(最短ベクトル問題)等の量子コンピュータ対策が行われており、量子コンピュータ対策が現状備わっていないイーサリアムとの差別化が行われています。

目次
■プロジェクトの背景
■アルゴリズム、時価総額等
■創業者やプロジェクトチームについて
■今後の展開

プロジェクトの背景

NEOのホワイトペーパーから、この仮想通貨・ブロックチェーンプロジェクトの背景を探ってみたいと思います。

まず、彼らはNEOのホワイトペーパー冒頭、そのプロジェクトの設計目標(design goals)を、「スマートエコノミー(Smart Economy)」の実現と定めています。

NEOのホワイトペーパーによると、彼らが目指すスマートエコノミーでは、ブロックチェーン技術によるスマートコントラクトと、デジタルアイデンティティを使用することによって、デジタルアセットを分散ネットワークによって管理できるようにするとしています。

スマートコントラクトという概念はイーサリアムでも既に使用されていますが、NEOのプロジェクトでは、そこに更にデジタルアイデンティティとデジタルアセットといった新しい概念を融合させることによって、分散ネットワークによる新しい経済圏(スマートエコノミー)を実現することを目標としているようです。

NEOのホワイトペーパーでは、デジタルアセットについて、電子データの形で存在するプログラマブルな資産と定義しており、ブロックチェーン技術による資産のデジタル化は、分散化、トラストレス(信頼不要)、追跡可能、高い透明性、仲介者不要を可能にするといったメリットが存在するとしています。

また、彼らはNEOのブロックチェーンによって行われるデジタルアイデンティティの証明について、個人や組織等のデジタルな身元情報を、P2P証明書発行モデルをサポートするX.509標準に基づいて実装することを示しています。

デジタルアセットとデジタルアイデンティティが機能すれば、現実世界の株や債券のみなさず、すべての実体や概念が、ブロックチェーンによる分散型ネットワーク上の資産と紐付けられることになるのではないでしょうか。

そういった未来の実現こそが、NEOプロジェクトの背景なのかもしれません。

アルゴリズム、時価総額等

NEOの時価総額は2018年7月現在2.7兆円ほどとされています。

また、NEOはコンセンサスアルゴリズムとして、DBFT(Delegated Byzantine Fault Tolerant)というメカニズムを採用しています。

NEOのDBFTでは、トークン保有者からの投票で帳簿係(ブックキーパー)が選ばれることによって、コンセンサスを獲得し新しいブロックを生成します。

DBFTの帳簿係(ブックキーパー)は、NEOのデジタルアイデンティティと紐付けられることによって、個人や組織を実名で証明することも可能になるそうです。

こういったデジタルアイデンティティの特性は、実社会の金融資産をNEOのデジタルアセットとして紐付ける際に非常に相性がいいものとなるかもしれません。

コンセンサスアルゴリズムといったネットワークの基幹から、そこに登記されるデジタルアセットまで、すべてのコンセンサスの裏側に、デジタルアイデンティティによる実際的な証明が存在していることは、レガシーな考え方を持つ既存の投資家や金融機関、政府機関にとっても、信頼できる材料となるのではないでしょうか。

また、NEOのDBFTコンセンサスアルゴリズムでは、投票をリアルタイムで継続的に行うため、約15~20秒ほどでのブロック生成を可能としています。

これによって、NEOのトランザクション処理は約1,000TPSを計測するなど、他のパブリックチェーンと比べても優れたパフォーマンスが得られており、これは今後の最適化によって10,000TPSに達する可能性をも秘めているとされています。

創業者やプロジェクトチームについて

NEOのプロジェクト発起人は达鸿飞という人物です。

彼は、2011年からビットコインとその基幹技術であるブロックチェーンに傾倒していたとされており、これまでにRipple中国地区のエージェントを務めるなど、様々なブロックチェーン関連のプロジェクトに参与しています。

达鸿飞がNEOプロジェクト(旧名Antshares)を発足したのは2014年、GitHub内にプロジェクトが立ち上げられたのは2015年6月となっています。

それまでの彼とNEOのプロジェクトチームは、少ない資金で人材も不足している中、2015年10月のICO第一期まで開発を続けたそうです。

現在のNEOの開発コミュニティは、基本的には中国の法律に合致するようNEOプロジェクトを推進しており、そういった開発コミュニティの姿勢は、NEOが中国”国産”の仮想通貨であると一部で語られる背景となっています。

今後の展開

ブロックチェーンのトランザクション処理が10,000TPSに達すれば、大規模な商用アプリケーションをサポートすることができるため、NEOが掲げるスマートエコノミーの実現のためにも、トランザクション能力の向上は欠かすことの出来ないものであると考えられます。

現在のトランザクション能力においてはNEOに劣っているとされるイーサリアムでも、RaidenやPlasma、 Sharding等の技術が開発されており、今後の発展が注目されています。

ブロックチェーン技術におけるトランザクション能力の向上は、ブロックチェーン技術が、本当の意味で”インターネットの次の革命”となるために必要なソリューションであるため、NEOを含めた各プロジェクトが、今後も様々な施策を続けていくことが予想されます。

現在、NEOが提案する、デジタルアセット、デジタルアイデンティティ、スマートコントラクトという3つの概念を組み合わせた分散型ネットワークでは、既に多くのDAppsが開発されています。

今後のNEOエコシステムでは、特に、分散型取引所やスマートファンド、データ交換市場、知的財産取引市場等といった、デジタルアセット及びデジタルアイデンティティとの相性が良いAdppsが発展していくのではないでしょうか。

参照 
・https://coinmarketcap.com
・https://neo.org/blog/details/3036
・http://docs.neo.org/zh-cn/index.html
・http://www.qukuaiwang.com.cn/zhuanlan/fenlei/131405.html
・https://www.zhihu.com/question/63889961/answer/219732326
・https://www.hibtc.org/6951.html
・http://www.qukuaiwang.com.cn/zhuanlan/fenlei/131405.html
・http://nd.oeeee.com/comments/btctruth/btstq/201312/t20131218_1451615.shtml
・http://finance.ifeng.com/a/20180115/15926129_0.shtml

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