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テンセントは巨大テック企業としての資源をコンソーシアム型ブロックチェーンの開発に使う【テンセント,腾讯,Tencent】

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ビットコインという非中央集権化された資産の誕生は、ブロックチェーンという技術の可能性を世界に知らしめたと言えるのではないでしょうか。

現在、中国を含めた多くの国や地域で、ブロックチェーン技術を活用した仮想通貨を開発する様々なプロジェクトが進展しています。

しかし、ブロックチェーン技術の応用範囲は、仮想通貨だけにとどまりません。

中国の巨大テック企業であるテンセントは、これまでにも、ブロックチェーン技術を使用した様々なプロジェクトを進めています。 この記事では、テンセントの取り組みをご紹介したいと思います。

目次
■コンソーシアム型ブロックチェーンを開発するテンセント
■テンセントブロックチェーン部門とゲーム部門がブロックチェーンゲームを開発
■今後の展開

コンソーシアム型ブロックチェーンを開発するテンセント

2018年3月8日に行われた《中国企业家》のインタビューにて、テンセントブロックチェーン部門ゼネラルマネージャーの蔡弋戈は以下のように答えています。

「ブロックチェーン技術は良い技術です。しかし、それは万能薬ではありません。世の中に存在する全ての問題を解決する必殺技のようなものではないのです。ブロックチェーン技術は、エコシステムと確かなインフラに組み合わされることによって、その能力を発揮するでしょう。ブロックチェーン技術を神格化せず客観的に見る必要があります。非中央集権にとらわれる必要はないのです。」

そのインタビューで、彼は、ブロックチェーン技術や非中央集権に固執するあまり、問題の解決にブロックチェーン技術や非中央集権化されたシステムを無理やり使用する必要はないと説いています。

つまり、彼は、問題の解決にブロックチェーンや非中央集権が必要であればその技術を使えば良く、ほかの技術が適していれば、ブロックチェーン以外の技術を問題の解決に使うべきだとしているのです。

彼曰く、テンセントがこれまで進めてきたブロックチェーンプロジェクトでは、コンソーシアム型ブロックチェーンが使用されることが多くなっているとしています。

ビットコイン等の仮想通貨に親しんでいる方であれば、パブリックチェーンという言葉を聞いたことがあるかもしれません。

パブリックチェーンとは、簡単に言えば、中央管理者のいないブロックチェーン、非中央集権度合いの高いブロックチェーンを指します。

ビットコインやイーサリアム等が、パブリックチェーンの代表的な仮想通貨と言えます。 一方、コンソーシアム型ブロックチェーンとは、その定義は未だはっきりとしていませんが、一般的には特定の複数の管理者によって取引を承認しているブロックチェーンを指します。

IBM等が中心となって開発しているHyperledger Fabricは、コンソーシアム型ブロックチェーンの代表的なプロジェクトと言えます。

また、特定の複数の管理者が単一の組織内に留まっている場合、それはプライベートチェーンと呼ばれることもあります。

中国の大手企業が開発するブロックチェーンサービスでは、現状、コンソーシアム型ブロックチェーンが多いように思われます。

パブリックチェーンとコンソーシアム型ブロックチェーンの良し悪しは、使用用途によって異なり、上記で蔡弋戈も指摘している通り、一つの技術を神格化せず、柔軟な視点でその用途を見極める必要があります。

また、技術は常に進歩しており、特にブロックチェーン技術に関しては凄まじいスピードで新しい技術が開発されているため、時間の経過とともに、様々な認識を改める必要があると思います。

テンセントは2015年から、自社にブロックチェーン部門を設けており、そこではこれまでにオンライン金投資を可能とする微黄金、サプライチェーンをサポートするブロックチェーンプロジェクト、病院と提携しデジタル処方箋をブロックチェーンに記録するプロジェクト、尋ね人プラットフォームとしての公益プロジェクト、オープンプラットフォームのBaaS等、様々なブロックチェーンプロジェクトが展開されています。

蔡弋戈は、テンセントが展開するブロックチェーンプロジェクトでは、金融機関や銀行とコンソーシアム型ブロックチェーンを開発することも多いと語っており、そういった場合は、彼らのコンソーシアム型ブロックチェーンの取引を承認する複数の管理者の中に、それらの金融機関や銀行が、テンセントとともに参加しているとしています。

テンセントブロックチェーン部門とゲーム部門がブロックチェーンゲームを開発

一方、テンセントというテクノロジー企業は、世界的なゲーム企業としても有名です。 2018年4月、テンセントは、自社のブロックチェーン部門とゲーム部門が協力し、テンセント初となるブロックチェーンスマートフォンゲーム”一起来捉妖”を開発したと発表しました。

このゲームは、スマートフォンのカメラを通しAR技術を利用し、妖怪を捕まえ、育成やトレードができるとするものです。

そのプロモーションビデオでは、妖怪を捕まえるためにポールのようなものが投げられており、あたかも人気スマートフォンゲームのPokemon GOを思わせる作りとなっています。

テンセント曰く、このゲームの中で、ブロックチェーン技術は、ペットとなる猫の収集・育成・トレードといった一部の機能に使われているとしています。

先述の蔡弋戈が述べていたとおり、そのゲームの構造は、ブロックチェーンでゲームを作るというような発想ではない、ゲームを作るために、必要な部分のみへブロックチェーン技術を応用する試みとなっているようです。

このゲームは、2018年以降も開発が続けられるとしており、今後は、ペットとなる猫以外の、ゲーム中に存在する様々な妖怪にも、ブロックチェーンによる収集・育成・トレードが適用されるかもしれません。

今後の展開

先述の蔡弋戈は、ブロックチェーンが解決出来るものは、信任コストの問題だと語ります。

彼曰く、既存の金融業界で最もコストのかかる部分は、信任に対するコストであるとしており、ビットコインの現在までの成功を見ても、ブロックチェーンは金融業界と非常に親和性が高いものとなっているようです。

たとえば、テンセントの展開するコンソーシアム型ブロックチェーンの開発は、人材の確保や適合する応用シーンの発見、コスト等の問題から、中小企業が開発することは非常に難しいものであると言えるのかもしれません。

しかし、実際に金融業界等の適合するシーンを発見し、銀行等の協力が得られるのであれば、テンセントが開発するコンソーシアム型ブロックチェーンは、既存の業界に存在した信任のコストを大幅に抑えることが可能となります。

蔡弋戈曰く、たとえば、コンソーシアム型ブロックチェーンに参加する各組織が、一つのブロックチェーンを信任し管理すれば、各組織で帳簿を照らし合わせるコストが大幅に削減できるとしています。

また、コンソーシアム型ブロックチェーンでは、限られた参加者のみで取引を認証するため、ビットコインのような仕事量によって報酬を与えるコンセンサスアルゴリズムを用意する必要はなく、スケーラビリティの問題を解決可能とするとしています。

事実、テンセントの採用するコンセンサスアルゴリズムでは、20,000TPSという非常に高いスケーラビリティを実現しています。

テンセントは、ここ数年、医療分野にも投資を続けており、今後は、ブロックチェーン技術を医療業界へ更に応用する可能性も存在します。

金融、ゲーム、医療、サプライチェーン、様々な分野で、これからもテンセントのブロックチェーンが使われていくことになると思われます。

参照 
・https://36kr.com/p/5123193.html
・http://v.techweb.com.cn/finance/2018-01-15/2628924_1.shtml
・http://www.sohu.com/a/229188705_455313
・http://zhuoyao.qq.com/main.shtml
・https://36kr.com/p/5120055.html
・http://tech.qq.com/a/20170204/027308.htm
・http://www.chinanews.com/business/2018/06-21/8543168.shtml
・http://news.huaxi100.com/show-254-997791-1.html
・http://chanye.18183.com/201807/1116526.html
・http://finance.sina.com.cn/blockchain/roll/2018-06-23/doc-iheirxye4024705.shtml

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