Bytomは、シンガポールに登記されたBytom財団(比原链基金会:Bytom Foundation)が中心となって展開している、仮想通貨・ブロックチェーンプロジェクトです。
Bytomは中国語で”比原链”と呼ばれており、公式Webサイトに記載されているプロジェクトチームはそのほとんどが中国出身の人物となっています。
彼らは、ホワイトペーパーの冒頭、このプロジェクトの使命として、現実世界の資産とデジタル世界の資産を繋ぎ、それら多元的な資産の流通を行える非中央集権化されたネットワークを構築することを掲げています。
目次
■プロジェクトの背景
■アルゴリズム、時価総額等
■創業者やプロジェクトチームについて
■今後の展開
プロジェクトの背景
Bytomは、ビットコインが誕生してから現在までの世界に起こったイノベーションの数々を、”情報”が力を持つ時代から”計算”が力を持つ時代への移行が起きていると表現しています。
たとえば、彼らは、ビッグデータを例に上げ、仮想通貨やデジタルアセットの今後の発展可能性を示しています。
曰く、ビッグデータとは、ビッグデータそれだけでは価値を生み出すことが難しく、ビッグデータをディープラーニング等によって有効活用し初めて価値が生まれるものだとしています。
それと同じく、彼らは、ブロックチェーンを基にした多次元的なデジタルアセットについても、それらをどのように流通させるかが重要であると示しています。
仮想通貨の中でも、たとえば、ビットコイン等の一種類だけの通貨を価値の保存として扱うのであれば、スケーラビリティ等の問題は存在しても、同一のブロックチェーンネットワーク上のビットコインの価値の転移は非中央集権性を持って行うことが可能です。
しかし、現在のブロックチェーンを取り巻く環境は急速に発展しており、既に様々なブロックチェーンプロジェクトが、ビットコインやイーサリアム等の複数の仮想通貨を異なるブロックチェーン上で扱うクロスチェーン技術について研究を行っています。
Bytomは、上記のような異なるブロックチェーンのクロスチェーンの実現だけにとどまらず、さらに現実世界にある債権や保険等の金融商品をブロックチェーン上に登記し流通させることをも、広義のクロスチェーンであると定義しています。
彼らは、金融商品に代表される現実世界の資産とビットコイン等の仮想通貨に代表されるデジタル世界の資産を、全てまとめて、多次元的な資産と定義し、それら多元的な資産の流通を行える非中央集権化されたネットワークを構築することを、そのプラットフォームの目標に掲げています。
アルゴリズム、時価総額等
Bytomで使用されているBytom(BTM)トークンの時価総額は、2018年8月現在180億円ほどとされています。
また、彼らのブロックチェーンでは、ビットコインのコンセンサスアルゴリズムであるPoWを基に独自設計した、Tensorityと呼ばれる新しいPoWコンセンサスアルゴリズムが採用されています。
このBytomの新しいPoWの特徴は、マイニングという行為に対して、よりエコロジーな環境を構築しようとしていることだと考えられます。
彼ら曰く、このような取り組みによって、マイニングという行為やその競争環境を、単なる資源や計算力の浪費から脱却させ、AI技術の発展に付与することが出来るようになるとしています。
現在、ビットコインに代表されるPoWをコンセンサスアルゴリズムとした仮想通貨のマイニングには、ASICと呼ばれる機器が多く使用されていますが、彼らの新しいPoWコンセンサスアルゴリズムでは、ASICを使用したマイニングに使われる計算力を、AIサービス等にも使用し、社会のために有益に活用するとしています。
彼らはこれによって、かつてから指摘されてきたASICによるハッシュ計算という応用範囲の狭い計算行為をより有意義なものにすることが可能としており、同時に、マイニングに伴う競争も、AIの発展に付与することとなるとしています。
PoWという、既にビットコインの発展と共に検証されてきたと呼べるコンセンサスアルゴリズムが、そのままの資源を利用してAIの発展に繋げられるという彼らの試みは、これまでビットコインへの指摘の中でも目立っていた、エコロジー問題についてを解決するものであり、ブロックチェーン全体の発展からみても、今後の進展が非常に注目されるものだと思われます。
創業者やプロジェクトチームについて
Bytomの公式Webサイトでは、长铗と、段新星という、二人の人物が共同創業者兼執行役として掲載されています。 まず、长铗という人物について記します。
1984年生まれの彼は、もともとは16歳の頃から中国でSF小説作家として活躍していた人物です。 2006年から2008年までの3年間、彼は中国SF小説のアカデミー賞、最高賞とも呼ばれるGalaxy Award(中国科幻银河奖)を三作連続で受賞しています。
しかし、彼の執筆するSF小説の発表は、2009~2010年頃を最後にぱったりと途絶えており、中国の仮想通貨メディアプラットフォーム8btc.com(巴比特)のローンチとともに长铗という人物の名前が再び世間一般に現れるまで、彼の消息についてはSF小説ファンの間でも噂の一つとなっていたとされています。
8btc.com(巴比特)は、後に中国大手マイニング企業BITMAIN(比特大陆)の創業者ともなるジハン・ウー(吴忌寒:Jihan Wu)が、2011年当時、长铗を共同創業者として立ち上げた、仮想通貨メディアプラットフォームです。
一説によれば、当時の长铗は、SF小説執筆のスランプに陥っており、新たなアイデアを求めビットコインの研究をしているなかで、ジハン・ウーと出会い、8btc.comを創業したとされています。
しかしながら、彼は、8btc.com創業後も、新たなSF小説を発表することなく、2017年6月からはBytomプロジェクトの共同投資者としても活動しているため、彼の情熱がどこかを境にSF小説からブロックチェーンへと映った可能性も非常に大きいのかもしれません。
一方、もう一人の共同創業者である段新星は、1982年に中国陝西省に生まれ、2011年頃までは、MotorolaやLucentといった世界的なテクノロジー企業でソフトウェアの研究開発等の職に就いていたとされています。
また彼は、様々な分野の人物がプレゼンテーションを行なうTEDカンファレンスにも当時から深く関わっており、イノベーションやクリエイティブに関連した様々な分野に対して造詣が深いことが伺えます。
2014年、段新星は、2013年に設立されたばかりのOKCoinに参加し、最終的には副総裁兼主席研究員を務めています。 2017年5月,彼は8btc.comに参加し執行総裁という職に就き、8btc.comのCEOである长铗のチームメイトとなっています。
2017年6月,彼はBytomプロジェクトを长铗と共同で立ち上げています。
今後の展開
現実世界の金融商品や法定通貨をブロックチェーン上の資産として扱うことを掲げるプロジェクトは、現在とても多く誕生しており、今後、Bytomもそのようなプロジェクトとの競争から逃れることは避けられないものと思われます。
その他の多くのブロックチェーンプロジェクトでも、同様の課題が存在していますが、Bytomもまた、彼らが掲げる多元的な資産の流通を行える”非中央集権化”されたネットワークの構築に、どのような具体的アプローチを取るのかが注目される点だと考えられます。
現実世界の資産をブロックチェーン上に登記する際、どのような機構・組織がその登記を行うのかは、今後も様々な議論が必要な分野なのかもしれません。
Bytomが、実際的にどのようなアプローチによってこの問題を解決するのか、注目されます。
一方で、彼らは、ODIN(Open Data Index Name)というブロックチェーン技術を基にしたデジタル証明を多次元的な資産に割り振ることによって、資産の重複や流通の際のスケーラビリティ問題に対応することをホワイトペーパーで言及しています。
ODINとは、もともと、PPkPubという中国のプロジェクトチームによって、非中央集権化されたDNSを実現するために開発された技術であり、今後のBytomの発展に、ODINがどのように関わってくるのかも、注目される点かもしれません。
参照 ・https://coinmarketcap.com/ja/currencies/bytom/ ・http://8btc.com/thread-57663-1-1.html ・http://ppkpub.org/ ・https://www.google.co.jp/search?q=%E6%A0%87%E8%AF%86 ・https://www.jinse.com/news/blockchain/54989.html ・http://www.bitmixc.com/application/qklyy/6779.html ・https://www.sohu.com/a/151968756_276518 ・https://www.jutuilian.com/article-15519-1.html ・https://www.8btc.com/article/137202 ・https://baike.baidu.com/item/%E9%95%BF%E9%93%97/4525949 ・https://bitcointalk.org/index.php?topic=2623292.0 ・https://www.8btc.com/article/183492 ・http://bytom.io/team/ ・http://bytom.io/wp-content/themes/freddo/book/BytomWhitePaperV1.1_En.pdf ・http://www.btc112.com/Bytom/31101.html ・http://roll.sohu.com/20120608/n345026216.shtml ・http://bytom.io/wp-content/themes/freddo/book/BytomWhitePaperV1.1.pdf ・https://www.8btc.com/article/212566 ・https://36kr.com/p/5131661.html ・https://www.jianshu.com/p/a06912feadaf ・https://www.pintu360.com/a44153.html ■中国ユニコーン企業100社以上総まとめ一覧 ■【Chaitech(チャイテック)編集長の想い】チャイナ(China)とテック(Tech)に愛(ai)を込めて ■ご支援パートナー様募集と今後のChaikuruの方向性