ASCH(アッシュ)は北京阿希链科技有限公司が開発している仮想通貨・ブロックチェーンプロジェクトです。
ASCHシステム内で使用されるトークンはティッカーシンボル:XASと表記され、中国語ではASCHを”阿希链”、XASを”阿希币”と区別し呼称します。
彼らのプロジェクトの特徴は、サイドチェーンを採用したスマートコントラクト・DApps開発プラットフォームにあると言えます。
また、彼らのプロジェクトはJavascriptを開発言語に採用することにより、開発者はより簡単にDApps開発を行うことが可能となっています。
すでにASCHからは多くのDAppsが生まれており、今後も、開発者は、コンテンツプラットフォーム、SNS、予測市場、取引所、知的財産権保護、公益等に関係する様々なDAppsを立ち上げることが可能となっています。
目次
■プロジェクトの背景
■アルゴリズム、時価総額等
■創業者やプロジェクトチームについて
■今後の展開
プロジェクトの背景
ASCHプロジェクトは、非中央集権的なアプリケーション開発プラットフォームを中国から立ち上げることを目標として2016年1月に発足しました。
彼らのプロジェクトチームは、その後、2017年1月に北京阿希链科技有限公司という会社を中国北京に登記しています。
ASCHプロジェクトは、Javascript言語とサイドチェーン技術に基いたDApps開発を用意にするためのSDKやAPIを当初から提供しており、彼らのプロジェクト発足によって、当時の中国国内の開発者の実際的な需要に即したプラットフォームが誕生したと言えます。
アルゴリズム、時価総額等
ASCH(XAS)の時価総額は、2018年7月現在50億円ほどとされています。
また、ASCHはコンセンサスアルゴリズムとして、Dpos+PBFT(Pratical Byzantine Fault Tolerant)という特徴的なメカニズムを採用しています。
彼らのコンセンサスアルゴリズムでは、まずDposによってブロック生成者が選ばれます。 通常のDposであれば、その後のブロック生成はスムーズに執り行われますが、ASCHのコンセンサスアルゴリズムでは、この際に起こえるリスクとして、ブロック生成者による悪意を持った行動の危険性を指摘しています。
通常のDposでは、一旦ブロック生成者が選出されれば、その後のブロック生成を止めることは出来ず、もしも悪意を持ったブロック生成者が不正な行動をした場合は、システムに参加する投票者が次の期間にそれら悪意を持ったブロック生成者に投票しないことによって対処します。
当然、少数のブロック生成者による不正な行動であれば、これらのフォークは次のチェーンの同期の際に訂正することも可能です。
しかし、悪意あるブロック生成者が増えれば、フォークを訂正するための時間もより長くなり、それはそのまま、システムの安全性に影響します。
ASCHのコンセンサスアルゴリズムでは、こういったDposのリスクに対応するため、PBFTを導入しています。 彼らのコンセンサスアルゴリズムでは、Dposによってブロック生成者が選ばれたあと、ブロック生成者は直接のブロック生成を行うことが出来ないよう設計されているそうです。
ブロック生成者はまずブロック生成のための提案(propose)を行い、次のブロックのhashを確定します。
その後、三分の二を超えるノードがその提案に賛成すれば、その時初めて次のブロックが生成されます。
これによって、ASCHのコンセンサスアルゴリズムはブロック生成者による権利濫用を防ぎ、彼らの記帳能力をコントロールすることが可能としています。
創業者やプロジェクトチームについて
ASCHの創始者は、現在も北京阿希链科技有限公司のCEOを勤める单青峰という人物です。
彼は、大学を卒業後、これまでに10年以上の間、エンジニアとして最前線で活躍しており、ASCHプロジェクトを立ち上げる以前は、中国版TWITTERとも呼ばれるWEIBO等で検索エンジンの開発を続けてきたフルスタックエンジニア(full-stack engineer / full-stack developer)であったそうです。
彼は、最初にブロックチェーンに触れたのは2012年のことだったと語っています。 曰く、あるフォーラムでビットコインについて聞き及んだ彼は、すぐさまリップル、BitShares、イーサリアム等に接し、余暇の時間を使ってマイニングプール等を設計していたそうです。
2015年になり、自身での創業を考えていた单青峰は、LISKプロジェクトに参与するようになります。
しかし、当時の彼は、LISKプロジェクトには中国国内の需要に即した動きが足りていないと感じたそうで、それは結果として、2016年、中国の需要に即したブロックチェーンプロジェクトである、ASCHプロジェクト立ち上げに繋がっています。
当時、中国ではNEOのプロジェクト一つだけしか、パブリックチェーンの開発は行われていませんでした。
しかし、当時のNEO(旧名Antshares)は、彼曰く未だ暗中模索の段階であり、パブリックチェーンとは銘打っていても、デジタルアセットの垂直領域に対するソリューションといった側面が強く、单青峰は、ASCHプロジェクトをより普遍的なブロックチェーン3.0のトレンドに即したプラットフォームにすることを決めたと語っています。
今後の展開
サイドチェーンを採用することにより、ASCHはブロックチェーンシステム特有のスケーラビリティ問題に対応しようとしています。
また、サイドチェーンを使用することによって、ASCHは優れたセキュリティをDappsに与え、同時にDapps開発者は、より独自性の強いブロックチェーンの設計を可能としています。
お気づきの方も多いと思いますが、ASCHがサイドチェーンを利用しJavaScriptでDApps開発を可能としている点は、LISKと同じであると言えるため、例えば中国では、ASCHとLISKを比べるような論調もたまに見受けられます。
また、ASCHプロジェクトを立ち上げた单青峰も、ASCHプロジェクト立ち上げ以前はLISKプロジェクトに参与していたと語っているとおり、ASCHのバックグラウンドにLISKの存在があったことは確かかもしれません。
しかし、一方で、ASCHプロジェクトにはコンセンサスアルゴリズムの独自性や早期からSDK・APIを公開していた等、LISKと異なる部分も多く存在します。
例えば、最近では、ASCHの創始者である单青峰は、サイドチェーン技術を使用し異なるブロックチェーンを繋ぐクロスチェーンを実現することをASCHプロジェクトの次の目標として語っています。
彼曰く、現在の様々なブロックチェーンプロジェクトは、すべて、孤島として機能しており、クロスチェーンの実現は、例えばビットコインというの孤島を、ASCHのエコシステムに取り込むことを意味し、ASCHプロジェクトのさらなる発展に繋がるとしています。
当然、クロスチェーンについてはその他の多くのプロジェクトでも様々な研究・開発が行われているため、そういった別のプロジェクトと歩調を合わせる必要性もあるかと思いますが、ASCHプロジェクトが様々な挑戦を続けていることは、ブロックチェーン全体の発展という視点からも、好ましいものであると考えられます。
参照 ・http://www.asch.so/ ・http://www.investorscn.com/2018/04/08/62174/ ・http://finance.ifeng.com/a/20171225/15887408_0.shtml ・http://asch-public.oss-cn-beijing.aliyuncs.com/asch.io/Asch-whitepaper-zh.pdf ・https://www.qichacha.com/firm_7ed9ab092aba948598a67b0b20992b7a.html ・https://www.zhihu.com/question/52745947 ・https://github.com/AschPlatform/asch/blob/master/docs/asch_sdk_api.md ・https://github.com/AschPlatform/asch/blob/master/docs/dapp_docs/1_hello.md ・http://bbs.asch.io:4567/topic/1335/%E7%A7%91%E6%99%AE%E8%B4%B4-lisk-asch-%E4%BB%A5%E5%A4%AA%E5%9D%8A%E7%AD%89%E8%BF%99%E4%BA%9B%E5%8C%BA%E5%9D%97%E9%93%BE%E6%8A%80%E6%9C%AF%E5%BA%94%E7%94%A8%E5%BC%80%E5%8F%91%E5%B9%B3%E5%8F%B0%E5%90%84%E6%9C%89%E4%BB%80%E4%B9%88%E5%8C%BA%E5%88%AB%E5%92%8C%E7%89%B9%E7%82%B9-%E5%A6%82%E4%BD%95%E8%BF%9B%E8%A1%8C%E9%80%89%E6%8B%A9 ・https://bitcointalk.org/index.php?topic=1525591.0 ・https://www.botfans.org/forum.php?mod=viewthread&tid=2508 ・https://www.chainnews.com/articles/131300774089.htm ■中国ユニコーン企業100社以上総まとめ一覧 ■【Chaitech(チャイテック)編集長の想い】チャイナ(China)とテック(Tech)に愛(ai)を込めて ■今後のChaitechの方向性