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コンソーシアム型とパブリックチェーンをクロスチェーンで繋ぐInkChain

投稿日:2018年9月2日 更新日:

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InkChainは、シンガポールに登記されたINK財団(INK基金会:INK LABS FOUNDATION)が中心となって展開している仮想通貨・ブロックチェーンプロジェクトです。

また、InkChainブロックチェーンは、中国語で”墨链”とも呼ばれており、中国の企業である纸贵科技がこれまでは開発していたとされています。

InkChainプロジェクトは、知的財産権をブロックチェーンに登記することによって、トークンを使用した知的財産の取引を実現するとしています。

目次
■プロジェクトの背景
■アルゴリズム、時価総額等
■創業者やプロジェクトチームについて
■今後の展開

プロジェクトの背景

“コンテンツ”と”知的財産”と”インターネット”の融合は、これまでコンテンツ産業に絶え間ないイノベーションを起こし、ユーザーに対しても大きな利便性を与えてきました。

しかしながら、そのようなイノベーションの陰では、様々な課題が生まれていることもまた事実であります。

たとえば、インターネット上に公開されたコンテンツをコピーされてしまったり、知的財産権を侵害されてしまうことに対しては、これまでも様々な議論が生まれていました。

また、インターネットを使用してオリジナルコンテンツを発表するクリエイターのマネタイズについても、これまで、サポートの必要性や、経済的な仕組み作りが求められていたのではないでしょうか。

InkChainは、ブロックチェーン技術を使用して、それらの課題を解決しようとしています。

ブロックチェーン技術が誕生してから、これまでも、その分散型台帳としての機能を使用すれば、著作権の保護がより確かなものになるという視点は存在してことと思います。

InkChainは、ブロックチェーン技術を使用し知的財産を保護するだけではなく、さらにその知的財産権の取引をも可能とすることを目標として掲げており、それが実現すれば、コンテンツ産業はより健全により力強く発展していくものと考えられます。

アルゴリズム、時価総額等

現在のInkChainプロジェクトでは、コンソーシアム型ブロックチェーンとなるInkChainと、非中央集権化された知的財産権取引を実現するINKトークンという、異なるブロックチェーンが開発されているようです。

ホワイトペーパーを見た限りでは、彼らは、それらのブロックチェーンを、クロスチェーン技術によって一つのサービスへ昇華させようとしています。

まず、彼らのInkChainブロックチェーンは、HyperLedger Fabricブロックチェーンを基に作られた独立したコンソーシアム型ブロックチェーンであるとされており、そのInkChainブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムは現在までのところ明言されておりません。

HyperLedger FabricではPBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance)コンセンサスアルゴリズムが使用されているため、おそらく、InkChainブロックチェーンもまた同様のコンセンサスアルゴリズムを使用するものと考えられます。

InkChainプロジェクトは、そのブロックチェーンで扱う知的財産権という権利の性質上、当面は特定の文化圏(中国、韓国、タイ等)のコンテンツ産業に向けたサービスを展開していくとしており、知的財産権の保護や登記、その侵害に対する実際的な罰則等の必要性を前提として、国家政府や司法機関、高等教育機関等の組織をInkChainブロックチェーンの認証を行うノードとすることを示しています。

一方、現在までのことろINKトークンはパブリックチェーンであるQtumのQRC-20トークンとして発行されており、その時価総額は、2018年8月現在13億円ほどとされています。

また、彼らはホワイトペーパーの中で、QtumベースのINKトークンを使用する、Qtumベースとなる非中央集権化された知財資産の取引所を開発するとしています。

彼らは、具体的には、課金型コンテンツやコンテンツのシェア、知的財産権の取引所への上場やその取引に、INKトークンが使用されるとしており、INKトークンには知的財産権を取引するための性質が存在するようです。

このように、InkChainプロジェクトは、司法機関等と協力して法的な対応も可能とする知的財産権の保護や登記をInkChainブロックチェーンという独立したコンソーシアム型ブロックチェーンで実現するとともに、その一方では、QtumベースのINKトークンを使用した非中央集権化された知的財産権の取引を実現させることを構想として掲げており、その2つをクロスチェーン技術で繋ぐことこそ、彼らのイノベーションであると考えられます。

創業者やプロジェクトチームについて

現在のInkChainのホワイトペーパーには、ヨーロッパや日本、韓国、ロシア等の共同創始者とされる人物が紹介されていますが、冒頭でも述べたとおり、中国の企業である纸贵科技という企業が、2017年当時からのInkChainの開発元であると考えられます。

おそらく、2017年9月の中国のICO規制によって、多くの中国のブロックチェーン企業がプロジェクトチームを中国に残したまま、シンガポール等の中国国外でプロジェクトを推進する財団を立ち上げたことと同じく、InkChainもまた、現在ではシンガポールに登記されたINK財団がその自治を行っているとされているものと考えられます。

纸贵科技という中国の企業は、唐凌という人物によって2016年に中国西安で登記されたIT企業です。

中国の一部の仮想通貨メディアでは、現在でも唐凌を纸贵科技とInkChainの創始者であると扱っているため、ここでは彼と纸贵科技についてご紹介します。

1995年生まれの唐凌は、2017年に中国の西安交通大学を卒業し、英語と法律の2つの学位を持つ人物とされています。

纸贵科技の創業年や、彼の大学の卒業年から推測すれば、唐凌は大学在学中に纸贵科技を創業したことが分かります。

あるインタビューによれば、唐凌は、当時、ブロックチェーンというアプローチではなく、純粋なるスタートアップの起業家として、インターネットを使用した知的財産権の保護をビジネスとすることを決めたそうです。

彼は法律の学位を持っており、そのようなバッググラウンドは、インターネットを使用した知的財産権の保護というアプローチに大きな影響を与えたものと考えられます。

当時の纸贵科技は、ユーザーとなるクリエイターに、オリジナルコンテンツの知的財産権保護を行う無料の法律サポートや権利侵害の監視等を法律事務所と提携しながら提供しており、2016年7月設立からたったの2ヶ月で9000以上のコンテンツを保護し、600人以上のユーザーを獲得したとされています。

また、彼らは創業年度である2016年一年間で、既にブロックチェーン技術を使用して6000件に及ぶコンテンツを登記したとされており、インターネットの技術の一つとして創業当初からブロックチェーン技術を使用していたことが分かります。

現在までに、纸贵科技は、投資家からの資金調達も成功させ、西安と杭州、北京のみならず、アメリカのシリコンバレーにも事務所を構え、さらにはイギリスのテクノロジー企業を買収するなど、国際的な成長を続けています。

今後の展開

彼らは、今後、イーサリアムを始めとした様々なパブリックチェーンともInkChainブロックチェーンをクロスチェーン技術で繋ぐ可能性を示しており、知的財産権のみならず、様々な資産をブロックチェーン上で取引できる未来を示しています。

また、現在はアジアを中心とした特定の文化圏を対象とした展開を計画していますが、将来的にはアメリカやヨーロッパ等へも進出するとしています。

政府機関や司法機関等と協力できるコンソーシアム型ブロックチェーンによって確かに資産をブロックチェーン上に登録し、それをクロスチェーン技術によって、パブリックチェーン上の取引所で取引するという彼らの試みは、実際的なビジネス環境と非中央集権化思想の融合であるとも考えられ、今後の展開が注目されます。

参照 
・http://baijiahao.baidu.com/s?id=1599730955080691497&wfr=spider&for=pc
・https://www.jinse.com/blockchain/156237.html
・http://huoxun.com/news/show/2034.html
・http://www.qukuaiwang.com.cn/ico/155.html
・http://tieba.baidu.com/p/5442103916
・https://ziggurat.cn/about-us
・https://ziggurat.cn/copyright-blockchain
・https://www.lagou.com/gongsi/147701.html
・https://www.qichacha.com/firm_4bac645b13c7dfcce69e24c7a74f9ab1.html
・https://www.qichacha.com/firm_b6c9d35611b636daa6aa94d8f72019f8.html
・https://ink.one/
・https://crosschain.ink.plus/#/index
・https://ink.one/statics/pdf/ink_whitepaper_ja.pdf
・https://ink.one/statics/pdf/ink_whitepaper_en.pdf
・https://www.jinse.com/bitcoin/94401.html
・https://www.8btc.com/article/137596
・https://xueqiu.com/3649092667/89853656
・https://www.jinse.com/blockchain/156237.html
・https://github.com/inklabsfoundation/inkchain
・https://ink.one/statics/pdf/ink_whitepaper_zh-CN.pdf
・https://coinmarketcap.com/currencies/ink/?utm_medium=widget&utm_campaign=cmcwidget&utm_source=bitcoin-tale.com&utm_content=ink

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