NULSは、シンガポールに登記されたNULS財団(Nuls社区基金会: NULS FOUNDATION)が中心となって展開している仮想通貨・ブロックチェーンプロジェクトです。
NULSプロジェクトの特徴は、例えるならばパソコンのCPUやハードディスク、メモリ、マザーボードといった部品のように、NULSブロックチェーンをモジュール化し、それを繋ぎ合わせることが可能となるよう設計を行っていることです。
それによってユーザーは、様々なモジュールとなるサブチェーンを組み合わせ、自身の要求に沿うブロックチェーンをデザイン可能となります。
彼らは、その特徴を生かし、ビジネス向けの非中央集権化されたブロックチェーンソリューションを実現するとしています。
また、中国では、NULSプロジェクトの前身プロジェクトは、Inchain(印链)と言う、ブロックチェーン技術を使用したトレサビリティーシステムを開発するプロジェクトであるともされており、この2つのプロジェクトチームは非常に近い関係にあるものと考えられます。
目次
■プロジェクトの背景
■アルゴリズム、時価総額等
■創業者やプロジェクトチームについて
■今後の展開
プロジェクトの背景
NULSは、これまでの様々なブロックチェーンプロジェクトには、以下のような課題が存在するとしています。
曰く、これまでの多くのブロックチェーンシステムが、ブロックチェーンのバージョンアップを容易に行うことが出来ないがために、開発されたブロックチェーンのライフサイクルもまた、非常に短いものとなってしまうと彼らは提言しています。
彼らは、NULSブロックチェーンをそれらの課題に対応させるため、メインチェーンとサブチェーンを使用するパラレルチェーン技術を採用しているとしています。
NULSは、そのパラレルチェーン技術の特徴として、メインチェーンとなるブロックチェーンに必要最低限の機能しか持たせていないことを挙げています。
彼らは、そのメインチェーンに、ブロック認証機能やサブチェーンの必要データ等のみを残し、それ以外のアプリケーションデータ等は全てサブチェーンに保存するようブロックチェーンの設計を行っているそうです。
それによって、NULSのメインチェーンは、さまざまなサブチェーンを並行処理可能となり、既存のブロックチェーンに存在するスケーラビリティ問題を解決するとともに、サブチェーンの改変・バージョンアップのみで、NULSというブロックチェーンを制限なくバージョンアップ出来るとしています。
したがって、NULSブロックチェーンのライフサイクルもまた、非常に長くなるものと考えられます。
また、そのようなメインチェーン+サブチェーンを使用したブロックチェーンの設計は、冒頭で挙げたような、モジュール化されたブロックチェーンソリューションを可能とします。
たとえば、企業等のユーザーは、NULSブロックチェーンを使用する際、さまざまなコンセンサスアルゴリズムやスマートコントラクト、アカウントシステムから匿名性に至るまで、ユーザーが望む設計となるようにサブチェーンを組み合わせることが可能となるそうです。
NULSプロジェクトは、そのためのモジュール化されたサブチェーンを豊富に提供していくとしており、モジュールとなるサブチェーンが増えれば増えるほど、サブチェーンがバージョンアップすればするほど、NULSというブロックチェーンが進化することになるものと思われます。
アルゴリズム、時価総額等
NULSトークンの時価総額は、2018年8月現在60億円ほどとされています。
また、彼らのブロックチェーンでは、PoC(Prove of Credit)と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムが採用されています。
彼らは、PoCというコンセンサスアルゴリズムについて、DPoSアルゴリズムを改良したものだと定義しています。
現在のNULSのPoCアルゴリズムでは、まず2,000NULSトークン以上を保持することによってこのコンセンサスアルゴリズムに参与することが出来るようになるそうです。
また、彼らは、ブロックチェーンのノードとなるには最低20,000NULSトークン以上が必要となり、さらに、200,000NULSトークン以上の委託を受けなければそのノードが有効とならないとしており、同時に委託者は、ノードが指定する一定数以上のNULSトークンを保証金として委託することによって報酬を得ることが可能となるそうです。
創業者やプロジェクトチームについて
現在、NULSの公式Webサイトでは、彼らのプロジェクトチームとして、CEOという肩書のLiesa Huang、創始者(Founder)という肩書のJason Zhang、共同創始者(Co-Founder)という肩書のLily WangとReaper Ranという人物等が確認できますが、冒頭でも述べた通り、NULSのプロジェクトチームはInchainのプロジェクトチームと非常に近い関係にあると中国では予想されていることも事実であります。
また、現在のInchainプロジェクトからは、InchainプロジェクトをNULSブロックチェーンのサブチェーンの一つとする意向が発表されており、過去にはInchainトークンが1:1の比率でNULSトークンと交換されたとする情報も中国では存在しています。
しかしながら、このような複数のプロジェクトが、近い関係性にあると予想されるプロジェクトチームによって展開されることは、中国国内外を含め仮想通貨・ブロックチェーン界隈で幾つか見受けられ、また、中国発のプロジェクトであるNEOやONTの関係性などを見ても、その関係性それだけで、そのプロジェクトを判断することはできないものと考えられます。
特に、Inchainプロジェクトは、2017年にICOを行った後、9月4日の中国のICO規制によって中国での活動に制限がかかったものと考えられるため、その後、仮に彼らがシンガポールにNULS財団を登記し、NULSプロジェクトを立ち上げたとしても不思議ではないのかもしれません。
ちなみに、Inchain(印链)プロジェクトは、もともと、2017年1月に登記された重庆印链科技有限公司という中国の企業によって開発されていたブロックチェーンプロジェクトだとされており、その創始者は杨霖という人物とされています。
杨霖は、8年以上エンジニアとして活躍している人物とされ、Inchainブロックチェーンの基礎となるコーディングも彼一人でそのほとんどを行ったそうです。
また、上記でNULSプロジェクトチームの一人として挙げたNULS共同創始者(Co-Founder)のLily Wangという人物は、重庆印链科技有限公司の株式を保有する王小莉と同一人物だとされており、ここからもInchainとNULSの関係性が垣間見えます。
今後の展開
今後のNULSは、展開されるサブチェーンがどれほど豊富になるのかが、注目される点だと思われます。
NULSによると、NULSのコンセンサスアルゴリズムであるPoC(Prove of Credit)は、”信頼を簡潔にする”というNULSプロジェクトの使命でもあるそうです。
彼らは、その使命の下、過去にはパソコンのOSの主流となったWindowsや、スマートフォンのAndroidのように、”インターネットの次のエコシステム”の主流を作ると公言しています。
また、NULSというプロジェクト名は、 ソースコードの”null”から来ているそうです。
“何もない”ということを意味するその言葉のとおり、これからのNULSが、ブロックチェーンの未来に存在する空白を埋めることになるのかもしれません。
参照 ・http://btcs123.com/show.asp?id=1692 ・http://www.51zuyouting.com/zixun/465.html ・https://www.jinse.com/blockchain_business_news/191330.html ・https://www.itjuzi.com/company/32823467 ・https://www.aliyun.com/zixun/content/37_81_2041246.html?spm=5176.100033.400001.22.PaA4g0 ・http://baijiahao.baidu.com/s?id=1600586369922294395&wfr=spider&for=pc ・https://zhuanlan.zhihu.com/p/31235888 ・http://www.bitett.com/portal.php?mod=view&aid=1163 ・https://www.soniubi.com/news/25549.html ・https://www.soniubi.com/news/78902.html ・https://baike.baidu.com/item/%E9%87%8D%E5%BA%86%E5%8D%B0%E9%93%BE%E7%A7%91%E6%8A%80%E6%9C%89%E9%99%90%E5%85%AC%E5%8F%B8/20412548?noadapt=1 ・http://www.fromgeek.com/blockchain/144550.html ・https://coinmarketcap.com/ja/currencies/nuls/ ・https://nuls.io/team ・https://nuls.io/api/v1/download/files/papers/white/NULS_whitepaper_zh_V1.0.pdf ・https://nuls.io/api/v1/download/files/papers/white/NulsWhitepaper1.1.pdf ・https://www.jianshu.com/p/57e7fc5aa298 ・https://www.inchain.org/#page5 ・http://qm.qq.com/cgi-bin/qm/qr?k=l_kxhb56W9RaWJDkILbIHOqpXbbhSl_e ・https://www.qichacha.com/firm_79b7890a6d774eb94071a8a4dd664af7.html ■中国ユニコーン企業100社以上総まとめ一覧 ■【Chaitech(チャイテック)編集長の想い】チャイナ(China)とテック(Tech)に愛(ai)を込めて ■ご支援パートナー様募集と今後のChaikuruの方向性