2014年中華人(ここでは中国人、香港人、台湾人、シンガポール人を含む)の訪日旅行者数は630万を超え、過去最高となりました。この数字を比較しただけでも圧倒的な増加があったことがわかります。そして、そんな中華人の訪日に関しては近年大きな変化が生じています。その変化についていけるかどうかが、観光業にとっての発展を左右するポイントとなるでしょう。(http://www.jnto.go.jp/jpn/reference/tourism_data/visitor_trends/pdf/2013_14_tourists.pdf)
ますます変化する旅行スタイル-団体型から個人型へ
2014年1-3月に基づく調査では中華人の約半数が個人旅行で日本に訪れています。 中国人63.5%台湾人47.7%、香港人46.1%、シンガポール人78.7% これにはLCC等の新規就航によりますます安価に日本との間を行き来できることが関係しています。もはや中華人にとって日本は安価で便利に行き来できる場所になりました。
さらにその後の2014年11月に行われた調査では、中国人がクリスマスと旧正月に日本と韓国へ個人旅行を計画する人の数は5割増しになったそうです。 (http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141215-00000019-xinhua-cn) そして、個人旅行の方が、滞在数と消費額のいずれも団体旅行者より多いことから、個人旅行者をいかに引き寄せるかが観光業にとっては大事なポイントとなってきます。 (http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/document/2011/201002_16.pdf )
目標はココ!個人旅行の体験記への掲載!
実際に中国人が良く利用しているインターネット旅行サイトの中には、沢山の個人旅行記が掲載されていて、個人旅行を計画、経験等が詳細に紹介されています。個人旅行を計画したいと思う人はこうした記事を参考にして自分に合ったプランを作成することができます。 その一つを簡単にご紹介いたします。 以下は中国の人気インターネット旅行サイト(蚂蜂窝网)に掲載されている個人旅行者の滞在記の抜粋です。
旅程 (http://www.mafengwo.cn/i/3031995.html)
3月22日北京至福冈(上海出发直飞佐贺,然后坐JR到福冈),宿福冈 北京から福岡まで(友人は上海から佐賀へ行き、その後JRで福岡まで行く)、福岡で一泊
3月23日福冈一日游,下午坐JR去由布院,宿由布院 福岡で一日遊び、午後にJRで由布院へ行き、由布院で一泊 (途中の旅程は省略します詳しくは上のULRをご覧ください)
3月28日熊本一日游,宿熊本 熊本で一日遊び、熊本で一泊
3月29日熊本至福冈,福冈至北京 熊本から福岡へ行き、福岡から北京へ 非常に詳しく何日にどこへ行ったかが記載されていますね。ここでは簡単に紹介しただけですが、上のURLでは、毎日の旅程の詳細が写真付きで事細かに記されています。 さらに、宿泊施設についても詳しくコメントが記されています。
コメント:藏在居民区之中,非常日式的外表,果然跟官网图片一模一样啊。 訳:住宅地の中に位置し、非常に日本的な外観、やっぱりサイトの写真と全く同じでした。 日本式の外観とウェブページの写真と相違がなかったことに感銘を受けているようです。旅館の写真も掲載されていました。
コメント:回到旅店还有意外惊喜,店家贴心地留了字条,表示冰箱里给每个人准备了水果。打开一看,虽然只是2小块哈密瓜和2小块香蕉,但容器相当精致,这份贴心也很让人感动。 訳:旅館に戻ってみてうれしい誤算がありました。「冷蔵庫の中に人数分の果物を準備しておきましたので是非召し上がってください」という張り紙がしてあってので、冷蔵庫を開けてみると、中には二切れのメロンとバナナがありました。ちょっとだけだけど、容器はとても精巧で、お気づかいに感動してしまいました。
日本人特有のちょっとしたサービスと気遣いにはとても引き付けられるようですね。当然ですが、この果物と容器の写真もしっかり掲載されています。
コメント:是非常值得推荐的一家旅馆,如果不要求一出火车站就到旅馆的话,我觉得非常值得尝试。 訳:すごくお勧めの旅館です。もし、駅チカが絶対条件でなければ是非行ってみてください。
最後にはこうしたお勧めがなされます。 もし、こうしたサイトに自分たちの宿泊施設が掲載されたらどうでしょうか?うれしいですよね。このような好意的な評価が載せられれば、友人からの情報やネット情報を大切にする中国人です。その後は継続して中国人観光客を集客することが可能となるでしょう。
中小規模の旅館と宿泊施設には追い風!
個人旅行ということになれば、旅行会社とのコネが全くなく、行きたくないお店に無理やり連れて行かれるということもありません。そして、自分で自由に旅行プランを計画することができます。そうなると中国の大手旅行会社とコネがない中小規模の旅館と宿泊施設には強力な追い風が吹くことになります。 実は旅館に宿泊する中華人は他の国からの観光客に比べて数が多く、日本の風情を味わいたいという方が多いみたいです。 2013年に旅館に宿泊した中華人の統計では、中国人41.2% 台湾31.3% 香港30.3% シンガポール32.7% いずれも30%を超えていて、中国の41.2%は国籍別で1位でした。
インターネットを利用したサービスが今後の生命線!
個人旅行を計画する中華人はどのように宿泊施設を予約するのでしょうか?インターネットです。すでに観光客集客とインターネットサービスは切っても切れない関係にあります。近年各自治体が中国版のsnsの微博・微信(ウェイボー・ウェイシン)による情報発信に力を入れているのはこうした流れを汲みとってのことでしょう。もはや集客率=ネット活用の有無といっても過言ではありません。