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烏鎮インターネット大会:アリババ螞蟻金融サービス・ブロックチェーンの成果

投稿日:2017年12月17日 更新日:

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中国 AI ブロックチェーン

【要約】
螞蟻金融サービスはブロックチェーンによって世界で初めての与信管理システムを開発した。

12月3日の午前中、第四回世界インターネット大会が中国浙江省烏鎮にて開かれた。
今年は、世界から1500に及ぶ参加者が集まり、今回彼らが共同で作製した大会サブタイトルは、”発展したデジタル経済はインターネット空間に運命共同体をつくるだろう”、というものである。

今回のインターネット大会では”投影映像”、”無人運転”、”対ハッカー防御システム”、”翻訳”、”医療サポートロボット”、等の技術的なホットワードが、多く出現した。
しかし、各々の発表者たちが準備されてきた短いスピーチを行なう中でも、アリババ螞蟻金融サービスが今回ブロックチェーン技術の成果として語った内容は、多くの来場者達に強烈な印象を残していった。

与信による、シェア傘、シェアバッテリー、保証金の必要ないレンタル図書。
大会期間中、烏鎮全域においてそれらシェアスポットが100箇所以上開設されたという。
それ以外にも、”全自動精算”で行われる駐車代金支払い、ショッピングブレスレットによる買い物等、様々なテクノロジーが烏鎮には溢れた。

報道によれば、今年、アリババ螞蟻金融サービスのセサミ与信は、烏鎮西栅景区の2つの協力者の家庭と、郵便局、役所、そして多くの民宿やホテル、レストランといった場所に、新しく64箇所のシェアバッテリーのレンタルスポットを開設している。
セサミ与信600点以上の人物であれば、保証金の支払いを必要とせず、中国国内20万箇所以上でシェアバッテリーをレンタルすることが出来る。当然、借りた場所と違う場所に返却することも可能だ。

それ以外にも、全自動精算で行われる駐車代金支払いシステムは、烏鎮東栅景区全ての駐車場で使用することが出来る。
予め自動車ナンバーとAlipayをリンクしておくだけで、駐車の度に財布から現金を出さなくとも、スマートフォンの支払いアプリを起動させなくとも、駐車から出庫までが完結してしまう。
それら”全自動精算”という体験のバックグラウンドには、AI画像認識技術による自動車ナンバーの読み取りと、瞬時にその情報から精算を行うシステムという2つの存在がある。

中国全土に先駆けて行われた”全自動精算”の試みである上海紅橋空港駐車場では、第一ターミナルと第二ターミナル併せて一日あたり30000回近い”全自動精算”を行っている。
上海紅橋空港駐車場から自動車が出ていく際、既存のシステムでは、自動車一台につき10秒という時間がかかっていた。
しかし、”全自動精算”システムの登場により、その時間は一台当たり2秒にまで短縮され、駐車場の効率化を数倍にまで高めている。
生体識別技術は、アリババ螞蟻金融サービスの核心的技術の一つだと言えるだろう。

2017年10月、アリババ螞蟻金融サービスはZOLOZを立ち上げた。
これは、世界で初めての与信管理プラットフォームである。
ZOLOZは、金融レベルにおける生体識別技術により、デジタル時代に立ち塞がる”個人識別”問題を解決サポートする。
これはまた、アリババ傘下における螞蟻金融サービスが初めてローンチさせた独立テクノロジープラットフォームでもある。

上記に並べた彼らの成果は、ブロックチェーン技術によってその基礎が作られている。
ブロックチェーンは、すでに中国が国家レベルで計画する重点領域のひとつである。
ブロックチェーンを簡単に説明すると、それは全ての参与者に公開された帳簿であり、その情報は全ての参与者によって正確性を保証されている。
ブロックチェーンの帳簿にはその構造上、改ざん耐性があり、ブロックチェーンにつながる全ての参与者に信用を与えることが可能となる。

2016年8月、中国工信部電子標準化研究院と幾つかの民間企業は共同で《中国ブロックチェーン技術と応用のホワイトペーパー》を選定した。
それは業界内でこれから使われる指針を示し、中国のブロックチェーン技術の今後二年間の発展計画を記したものである。
当時から、中国工信部はブロックチェーン技術と金融領域の融合に対して希望を持っており、テンセントのWeBank、アリババの螞蟻金融サービス、平安保険等の企業がその研究開発に取り組んできた。

以下に、それらの企業の成果を記したいと思う。

Wanxiang(中語の巨大コングロマリット)とテンセントのWeBank

中国では、Wanxiangがブロックチェーン業界を引っ張っていると言っても過言ではないだろう。
2015年8月、中国Wanxiangは、中国におけるブロックチェーン技術の発展とその応用のため、ブロックチェーン研究室を出資設立した。
研究室の発起人にはWanxiangグループ副董事長肖风とブロックチェーン業界の重要人物たち数名が名を連ね、これによってWanxiangグループはブロックチェーン技術を自分たちの懐に取り込む準備を整えた。

2016年、Wanxiangは5000万米ドルを運用するベンチャーキャピタルを設立し、ブロックチェーン技術への専門的な投資プロジェクトを進めると発表した。
それは現在までに世界で23企業に対して2000万米ドルを投資している。
対象となった企業は様々であり、スマート証券、取引所、嗜好品トレサビリティ、サプライチェーン、データセンター管理等、彼等はブロックチェーンに関連する6つの大きなシーンに対して投資を行った。

2017年7月31日、テンセントのWeBank、Wanxiang、そしてEntvir(中国のネットワーク開発企業)は、共同で声明を発表した。
その内容は、彼ら3社はブロックチェーン技術をもとにBCOS(BlockChain OpenSource)プラットフォームを開発、始動させたというものである。
BCOSプラットフォームは、生体識別、非対称暗号化アルゴリズムを通して、ITガバナンスを実現し、全面的な監督審査ツール等を備え、様々な業界での利用に応えることが可能だとされている。
彼らの説明によれば、それは、分散コンピューティングによるビジネスのシェアリング化と透明化を実現するため、ブロックチェーン技術等の先端テクノロジーを使用している。

2017年上半期、Wanxiangはブロックチェーンを使用したBCOSプラットフォームによって金融サービスプラットフォームを開発し、それは最適化された資金の流れを管理出来るものだと発表した。
サプライヤーは、このような業務プラットフォームを使用することにより、集金サイクルを縮小し、コストの低下を実現することが出来る。
また、ユーザー情報等の重要なデータを流出させるリスクを減らすことも出来、金融業界にとって、このプラットフォームは取引エラーを根絶し、高い運営効率とリスク管理を実現させる。

3社の中で末席を務めるEntvirもまた、ある証券取引所と契約を結び、BCOSプラットフォームによる中小企業、マイクロ企業へのスマート化された証券登記サービスを提供する。
企業証券登記業務を通して、先端テクノロジーは企業の信用を形作る基礎を担うこととなる。
これは、公共サービスとビジネスの共同プロジェクトを意味し、より便利な中小企業とマイクロ企業への融資プラットフォーム実現を可能とするものである。

 


アリババ螞蟻金融サービス、プロジェクトの成果

2016年7月31日、螞蟻金融サービスの主席技術員である程立は、2016年インターネット金融外滩大会において、螞蟻金融サービスはブロックチェーン技術を公共サービスに応用していくと発表した。
まずはAlipayによる寄付のプラットフォーム上で聴覚障害を持つ子供たちに対して行われる寄付金のトレサビリティ化を行なうとした。

程立曰く、螞蟻金融サービスでは、その一つの試みを応用し、今後はブロックチェーン技術による公共サービスのバージョンアップを行い、より有益な公益組織と審査監督機構の実現を目指すとしている。
螞蟻金融サービスの主体組織以外でも、その傘下にある恒生電子もまた、ブロックチェーン技術を使用したデジタル領収書システムを開発している。

螞蟻金融サービスの第一の応用シーンは公益という領域であり、聴覚障害を持つ子供たちに対して多くの寄付を集めた。
2017年8月29日、螞蟻金融サービスはブロックチェーン技術を保険領域に応用する。
それは、信美人寿相互保険社(Trust Mutual Life Insurance Company )のオンライン保険業界初となる貧困救済プログラムにおいて、全ての資金の出入りを公開し透明化、またブロックチェーンによりトレサビリティ可能とし、その寄付金がどこに行ったのかを全て可視化できるようにした。
Wanxiangと同じく、螞蟻金融サービスもまた、資金のトレサビリティという選択を行ったのである。

2017年11月、アリババ螞蟻金融サービスのブロックチェーンは食品のトレサビリティと商品の偽物撲滅にも使用されている。
オーストラリア産やニュージーランド産の粉ミルク、中国の高級酒である茅台(Maotai)、それらの商品を、消費者はAlipayによってスキャンするだけで、それが本物か偽物どうか、どのような流通経路を辿ってきたか、全て分かるようになっている。
ブロックチェーン技術は、優秀な”書記”となり、その記録帳簿の公正性、独立性、そして不可逆的な改ざん耐性を保証している。


現在、ブロックチェーンプロジェクトの成果を見る限り、螞蟻金融サービスの成功事例は興味深い。

しかし、Wanxiangもまた、その後ろから、劣ることのない成果を示している。
今後、そこにまた、テンセントという優秀な部隊が成果を提示していけば、中国国内のブロックチェーン領域における競争は、より興味深い、特別な輝きを放つものとなっていくだろう。

翻訳元:http://www.sohu.com/a/208267510_119759

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