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中国AI企業:『今日頭条』は中国にキャリアアップのニューウェーブを作り出す

投稿日:2017年11月26日 更新日:

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中国 AI 人工知能 ブロックチェーン

【要約】

・特技のある人間などが今日頭条を通して質の良いコンテンツを作ればファンを獲得して悪くない収入を得ることが出来る。
・AIはコンテンツの配信に革命を起こした。
・アルゴリズムによって利用者の趣向に合わせた記事を自動配信することによって、全くのファンが付いていない埋もれてしまいがちなコンテンツも、其れを好む人のもとに届けられる

 

最近、一人の警備員が中国のインターネット上で人気者となった。24歳の曹欢は中国貴州省のミャオ族の農村で生まれた。彼は中学校を卒業した後、広州(中国南方の都市)へ行きデパートの警備員の職についた。月給は3100元だった。暇な時、曹欢は同僚と一緒にジョークビデオを撮り遊んだりしていたが、ある時、その同僚の勧めに従い、彼は今日頭条で”欢子TV”というアカウントを作り田舎の風景をショートビデオに収めて公開した。その土地の、ミャオ族の風土と人情という絶妙な素材を元に作られたコンテンツは、今日頭条において爆発的人気となった。それは280万回再生され、1万のコメントが付いている。

 

曹欢は自身のコンテンツに対して、ノスタルジーという独特のテーマを見出した。中国において、多くの農村の人間は都市へ出稼ぎに行き、そこで生活するが、彼らは農村での暮らしやノスタルジーを忘れてはいない。
彼のショートビデオで最も人気があったのは、ミャオ族の女性が舞踊のために一時間かけて民族衣装を着込むというものだ。このビデオは700万回再生され、3万回シェアされた。現在、曹欢のアカウントには既に50万人のフォロワーが付いていて、全てのビデオの再生回数は2億回を超えている。そして彼の年収は50万元に達した。

 

中国ではどこにでもいるような一人の警備員が、インターネット上に現れた新技術の助けを借りて起業し、月給3100元を年収50万元にすることを実現させた。これは中国の一般市民にとって、新時代における一つの逆転物語だろう。その他にも、多くの人々が曹欢と同じようにクリエーターという起業の潮流に乗った。インターネット+キャリアアップがここに実現したのだ。

 

例えば、花を育てることを趣味とする坤哥は”坤哥玩花卉”というアカウントを開設し、毎日一つの草花を取り上げて、それを解説するビデオを投稿していた。今、そのアカウントは多くの植物愛好家たちにフォローされ、彼らをネットショップに招き入れるというコンテンツマーケティングに成功し、その売上は毎月10万元を超えている。

 

更に、三甲病院の耳科の医者である趙医師は、”耳科の趙医師”というアカウントを作り、現在そのフォロワー数は100万程にまで達している。彼は主に耳科の知識や治療についてのビデオを公開していた。そして、彼のフォロワーは、耳科に診察へ行く際は彼のことを探す事になる。現在、彼のもとを訪れる患者は、その半分以上が彼のアカウントのフォロワーだと言う。

 

曹欢、坤哥、趙医師、この三人は領域も違えば収益化のモデルも違う。しかし、一つだけ共通点がある。それは彼らは皆、ある種の特技やバックグラウンドを持っていたということだ。それは今日頭条のようなインターネット上のプラットフォームを通してクリエイティブなコンテンツへと変わり、フォロワーを作り、悪くない収入をもたらした。

 

2017年10月までの数字を見ると、今日頭条には120万のアカウントがあり、毎日平均50万個のコンテンツが発信され、それらは48億回以上再生されている。今日頭条は既に世界最大のコンテンツプラットフォームとなった。クリエーターがアップロードするコンテンツは、年齢や性別、職業などの全く違うバックグラウンドを持った人々へ届けられる。それは、視聴者とクリエーターの結びつきを促し、新しい関係を生む。

 

重要なのは、今日頭条のコンテンツ分散システムは、人によるものではなく、AI技術を採用することによって成された新しい分散の形だということだろう。AIはコンテンツデリバリに革命をもたらし、コンテツと視聴者を上手くマッチングすることを可能にした。それはロングテール効果によってマイナーなコンテンツにも視聴者を与えるという事を意味する。ごくごく普通のクリエーターでも、自分のフォロワーになってくれるだろう視聴者を見つけることが出来るようになったのだ。

 

今日頭条のAIお薦め機能は一種の新しい中国のメディアエコシステムを築き上げ、そして新しいメディア形態は、新しいキャリアアップのニューウェーブをもたらした。つまり、クリエーターは、自分の得意とするコンテンツに力を注ぐだけで良くなったのだ。曹欢はノスタルジーなビデオを撮ることに力を注ぐだけで良く、坤哥は花の育て方をレクチャーするビデオを撮ることに力を注ぐだけで良い。その他の事は、今日頭条というプラットフォームに全てが揃っている。クリエーターが優秀なコンテンツを作れば、それは今日頭条のAI技術によってより多くのアクセスを獲得し、そして実際的な収入を目の前にもたらす。これらの収入は更に彼らクリエーターを刺激し、途切れること無く上質なコンテンツを提供していくという好循環を生む。

 

今年の7月、中国国務院は《新世代AI発展プロジェクト》を発表し、2030年に向けての中国の新世代AIの指導思想、戦略目標、重点任務と保証等、中国のAI技術を発展させるスキームを構築するとした。現在、AIは人類に取って代わるのかという話題は盛り上がっている。しかし、今日頭条はAIを通してクリエーターと視聴者を上手くマッチングさせ、クリエーターに収入をもたらし、キャリアアップを実現させた。これは、AIという新技術は我々の社会と生活を根本から覆すような変化をもたらす証明となる。しかも、それは正しい変化だ。

 

AI等の新技術はコンテンツ産業のキャリアアップをもたらした。これには商業価値、社会価値、公益価値がある。たとえば”欢子TV”のビデオがシェアされ拡散していくと、それはクリエーターに収入を与えるだけではなく、都市部から離れ生活するミャオ族の農村を大々的に宣伝し、また貧しい地域に対して、貧しさから抜け出すエネルギーをも与える。耳科の趙医師は医学というコンテンツによって自身の顧客を増やすだけでなく、一般大衆へ医学知識を広め、多くの人たちの疑問に答えた。

 

重要なのは、今日頭条のこれら新技術は一般大衆のための技術であるということだ。デパートの警備員に対しても、当然その新技術は恩恵を与える。今日頭条の高級副総裁である趙は以下のように指摘する。今日頭条はAIによるコンテンツ分散とフォロワー分散の領域でクリエーターの支持を得ている。例えば、フォロワーを増やしたいクリエーターはシステムでその調整をすることが可能となり、AIによるまとまった数の初期フォロワーを獲得する手助けがそれを実現する。

 

このコンテンツ産業のキャリアアップは、今までのような、大きなフォロワー数を既に持っているクリエーターの優位性という特権を、普通の一般人にも開放し、同じようにコンテンツ産業の潮流に乗ることを可能にした。これは現在の中国が推し進める共同富裕、小康社会の実現というバックボーンのもとではとても重要な要素となる。

 

11月22日、2017年今日頭条クリエーター大会において、今日頭条の創立者でありCEOの張一鳴は、AIによるお薦め機能からAIソーシャルへ向けて走り出すと発表した。また、同時に、今日頭条は”フォロワー百万人以上のクリエーターを1000人”育成する計画を今後1年以内に実現させ、それは全てのクリエーターにビックアカウントとなるチャンスが与えられる時代が到来したことを意味すると語った。

 

中国経済が高速成長から高品質成長へ変わっていく中、今日頭条がもたらす改変はとても大きな意味をもつだろう。新しい技術と産業革命の潮流は、コンテンツ産業にエネルギーを与え、コンテンツメディアの形を今日頭条が変えることになる。AI等の新技術は実体経済と融合し、各業界の一般人を通してコンテンツ産業のキャリアアップと収入を手助けする。そしてそれは彼らの生活をもより良い形へと変えていく。

 

今日頭条のこのような新技術は、中国のキャリアアップにニューウェーブをもたらし、中国の一般社会に住む我々中国人の生活を、一年、また一年と良くしていくと、我々は信じている。

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